ウリエル

*公式設定と食い違う描写があります。
*鮮血がややヒステリック気味です。

彼の名前は「神の炎」を意味する――。

ステンドグラスに描かれているのは創造神と破壊神が地上を創造するまでの経緯を描かれている姿であった。今にとっては、人類は神々の敵と言えよう。手袋をし、温盛が感じられる。
「ナルキッソス様」
スナイピアの報告を受け、ハーディンから直属の命令を聞いた――「地上界に侵攻しろ」との通達があった。カツカツと靴音を響かせ、彼は礼拝堂を後にする――。

彼は千年前、飛天族地域に降り立った頃がある。ハーディンの命令で「地上界の監視をして欲しい」と言う命令を受け――前代飛天王メルキオールに仕えていた。「ナルサス」と言う偽名を使い、黒い翼も偽り――騎士の肩書を受けた。「英知や力に優れる騎士ナルサス」と言う仮面に偽る事で、人類を監視出来る――やがて、飛天王とその王妃から後の飛天王となるアレックスが生まれ、長らくの間――平穏が続いていた。ある時、メルキオールが突如失踪するまでは――。
(やはり――予測していた通りですか)
そう、彼の予測していた通り――魔族の戦いが起き、その戦乱が起きたのだ。その戦乱が終わった後、「ナルサス」は姿を消し――その千年の間、「ナルキッソス」は身を潜めていた。だが、どうしても気に食わない事があったのだ。

(――あの、飛天と獣牙の…混血児、いや、超魔人…)

飛天族に降り立った頃、出会った一人の女性と、飛天族をスパイしていた一人の蝙蝠の翼を持った男から生まれた、超魔人の子供。「サイアス」と言った子供は、自分を見つめていた――。
(今更、何を…)
あの見つめた瞳は、危険だった。獣が喰らう――血肉の臭いがした。
「ナルキッソス様!」
スナイピアの発言に我に返り、ナルキッソスは「あ、ああ…」と言った。剣を持ち――握り締める。今更何を、人間は破壊神の手によって――滅ぼされるのに、今さら何を考えている?あの一人の少年の事など、考えなくても良いのに――。だが、その想いは――打ち砕かれる事になる。
 
先に行った部隊が戻って来ないとの連絡を受けた。
大体何を考えているのだろう――相手は人間の筈だ。四つの部族の血も薄れ、本来の力も出せない――その筈だったのに。ナルキッソスの嫌な予感は、的中する事になる。

到着した時には――彼方此方にモップスが倒れ、其処に居たのは――一人の男。何かを隠すつもりなのか、仮面を被っている――剣を構えており、ナルキッソスはその場所にたどり着いた。
「久しぶりだな――『ナルサス』」
「…貴様…一体何故その名前を知っている」
「千年経っても、その名を覚えている――名前も、姿も、ああ、そのナルシストなその言動も」
天使だったんだなと仮面の男は言う。
「アンタは――一体、何を知りたかった?」
「黙れっ!」
ナルキッソスは素早く剣を抜き――男の仮面を弾いた――が、その素顔を見て、ナルキッソスは驚愕する。
「お、お前、は…!」
そう――あの忌々しい獣牙族のスパイの顔と、顔立ちが似ていたからだ。若しかしなくても――ナルキッソスの推測は、革新へと変わった。
「…サイアス」
「ほう、俺の名前を知っているとは」
ナルキッソスは舌打ちした。まさか、こんな所で再会とは――。
「貴様は、前から気に食わなかった――獣臭く、忌々しい蝙蝠の翼を持ち――その純白の翼を穢した!お前が、気に喰わないよ!ああ!気に食わなかったさ!」
「おいおい、ヒステリックか?」
「煩いっ!」
黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ――!その悲痛な叫びは、サイアスに届く事は無かった。ただ、彼は何かに叫ぶように、狂ったように叫ぶように――剣を構える。
「剣を構えろ――貴様だけは、消してやる」
「ああ、そうだとも――お前は、そう言う奴だよ」

エイメン。



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