その摂理

「教えてくれよ、指揮官(コマンダント)。この戦争は何時まで終わるんだ」
それは、いつだったか――ヘルバットが、艦隊を離脱するまでの出来事だったか。戦争が、激しく行われている時代、彼がそんな事を言っていた理由が今にも、分かる気がする。

ヘルバットは艦隊の中で問題児だったとされる。度々他の部下と衝突し、トラブル沙汰を起こす。中には部下が重傷沙汰を起こすような事態もあった。その苛つかさせる性格が気に食わないと部下の一人は言っていたが、副官のレオザックはヘルバットを宥めていたり落ち着かせている立場だったのだが、度々口論がおこる事も少なくなかった。ヘルバットは、最初こそ自分が楽したいから。と楽韓的な性格だったが、この戦争事態でトランスフォーマーと言う種族自体に絶望しつつあった。自分自身には分かりはしなかった――そもそも、自分自身が戦闘する為に生まれてきた存在だから、それくらい疑問を持たなかった。
「指揮官(コマンダント)、俺達は戦う為に生まれてきたんだ――って言うくらいなら、俺はそんな種族に死んでしまえって言うだろうね」
「それは分からないな――何時か戦争は終わる。ディセプティコンが勝つかオートボットが勝つか。結末は二つに一つだ。それに何の意味がある?」
自分の問いに返す暇もなく、ヘルバットは姿を消していた。恐らく、都合のいい答えが返ってこなかったためにさっさと出て行ったのだろう。厄介な男だ。
そして、ヘルバットがギガトロンの部隊に移動したと報告が入り――それ以降、彼の通信が途絶えた。自分は、気にも咎めなかった。これは戦争だ。そう思っていた矢先の事だった。

あのネクロワールドでの戦いで、どれ程の犠牲者が出たのだろうか。傭兵のブルーバッカスやDJD…オートボット側にも被害が及ぼされている。これは戦争だ。間違いない――だが、自分自身の良心の為に、DJDを見捨ててしまった。やはり、自分も卑怯者で間違いないと心が痛んだ。そして――ヘルバットのあの言葉が、思い返される。

「俺達は戦う為に生まれてきたんだ――って言うくらいなら、俺はそんな種族に死んでしまって言うだろうね」



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