水音に阻まれる

全く今日もタイレストに色々小言を言われまくった。序に頭をプライマスでイカレまくったスターセイバーにプライマスとは何かを説明されまくって頭に血が上って来たのか、ロックダウンは苛々したのか、シャワールームを使うと決めた。絶対にシャワーで頭を冷やすと心に誓ったのだが、あまりにも苛々して雑音が耳に入らなかったのか――シャワールームに入ろうとしたら、先客――ファーマがタオルを巻かずにシャワーを浴びていたのだ。
「な、なぁ!?」
あまりにも突発拍子も無い事で驚いたロックダウンだったが、ファーマは「あ、おかえり」と言いながらシャワーを浴びていた…裸体を晒しながら、あまりにも酷い無自覚で。
いやこれは無いだろう!?と思いながらも、頭を冷やしながらファーマを見た。
濡れた赤い髪を傷跡が痛々しく残る手でシャワーを持ち、洗っていた上に、少し痩せこけているように見える背中を見ながらも、ぱしゃり。と水音が濡れた足元に落ち、青い瞳で自分を見上げていた。
振り返り、少し控えめな乳房と、滑らかな腰のくびれ、滴る赤い茂みと、白いメッシュから見えるピアス――傭兵である自分からしたら、裸体で体を洗うのはよくある事だ。だが、こんな気高いお医者様は、絶品にして絶景であろう。だが、機嫌を損ねられたら困る。ロックダウンは、隣にあったドライヤーとタオルを持ち、彼女の身体を拭く準備をした。

自分のシャワーを終えた後、ロックダウンは半裸で酒をグラスに入れ乍ら――ベッドに寝転がってテレビを見る。下らないアダルト番組を見る。誰かが酷い目に遭う番組だが――服を着ず、裸体でロックダウンに這い依る彼女の姿を見ると、酒の隣に置いてあったチョコレートを一つまみ取り出し、口に入れる。ロックダウンに寄り、自分も彼女に寄る。手首に傷跡が生々しく見えるが、白いメッシュの見える所から金色のピアスがキラキラと輝いている。
あまり、昔の彼女についてロックダウンは知らない。恐らく知っているのは、デルファイでDJDに酷い事をされただろうと、輝かしい経緯を持っていたが、殺人医者である事だけだ。今は無邪気に、自分の姿を楽しむ彼女を見て、まるで何処かの誰かの姿を見ていると思った。そう、あれは、元々はディセプティコンであり――。

「失礼、マッドドクター」
裸体で彼女に抱き締め、合図を送る。体と体で抱き合う合図。が、彼女はピアスを鳴らしながら、静かに目を閉じ――ロックダウンの首を回す。まるで美女と野獣だ――最も、美女の方は狂気を秘めた女だがな。
静かに、彼女はロックダウンの傷だらけの身体を、乳房で押し付ける。そして、傷跡の残る手首で、首を回す。後は、されるがままの合図だ。

「このサディストめ」

はてさて、それはどっちの台詞だろうか?



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