Kiss of Death

拳銃一丁、ナイフ一本、注射一本、それらを浪費した裏切り者のギャング集団を一掃した午前11時。仮面の男はこれらをゴミ箱に捨て、コートを羽織らせて裏路地を見渡す。後ろにはスーツを着こなした女が一人。女は片手に拳銃と折り畳みバタフライナイフを持ち、同じく辺りを見回す。女は仮面の男が首領を務めているギャングの補佐をしている。数日前、メンバーの一人が裏切り、オーバーロードと言う男の部下に入った為に、彼女を欲しがっていた男は、急遽名医の腕を持つ闇医者である彼女に近付いた。彼女と交渉の末、仲間に加入する事に成功したのだ。それで、裏切り者のギャング集団を今、片づけた所だ。女――ファーマは、仮面の男の頬に還り血が付いている事に気付き、黒い手袋で其れを拭った。
「血、付いているぞ」
「ああ、有難うドクター―――貴方は最高の医者だ」
私は闇医者だ。だからどうしたと言うんだ。と吐き捨てれば、仮面の男は路地裏に誰も居ない事を確認し、ファーマの髪の毛を優しく撫でる。
「お前は、こんな私を欲しがって、如何したいと言うんだ」「さあ、私は貴方が欲しい。貴方が居れば、こんな道も一人で歩ける事が出来る――貴方が欲しい。どんな手を使ったとしても、壊れ物の人形である貴方が欲しい」
仮面の男――ターンは、何処か壊れている。幼い頃に師である男の拷問をきっかけに頭がおかしくなった男は、まるで誰かの男を欲しがるかのように自分を求める。けれど、それはきっと、ままごとに過ぎないのだろう。スーツを一旦脱ぎ、ネクタイを外し――ワイシャツのボタンを外す。そして、露わになった黒く、ゴシックに纏う下着を見せ――男は下着をずらし、露わになった乳房の果実に厭らしい舌で舐めとる。ああ、いつもの癖だろうな。と苦笑しながら、今夜は近くのモーテルで体と体を抱き合うセックスだろうな。と考えたが、ファーマはターンの仮面を外し、傷がある唇に蛇のような赤い舌でゆっくりと舐めとり、深い口付けをする。ファーマからの欲求にフェロモンを刺激されたターンは、「いい子だ」と口付けを返す。

「今夜は、貴方を寝かせる訳にはいかないようだ」
ああ、勿論だとも――哀れな狂人よ。

「これはあくまで推測なのだが、」
お前は私を欲した訳ではなくて、ただ単に代わりが欲しかった。それだけの事実だろう?バスタブでファーマとターンは一緒にお風呂に入っていた。一掃した後に近くのモーテルに泊まり、鍵を持って自室に入った。それで一緒に穢れた血を流す為にシャワーをする事になった。両足を組んで、シャボン玉を吹かせているファーマと、後ろで久々の風呂で息を吹かせているターン。べちゃりとシャンプーで濡れた腕を拭い、傍らに置いてあった飴玉を舌に入れ、甘いシトラスの香りが広がる。

バスタブから出た後、ベッドに座り、スーツのジャケットを裸体に羽織り――静かに血に穢れていた部分、足を見る。ファーマは静かにベッドに倒れて、天井のシェードランプを見上げる。向かい隣でアルコールの濃度が高いワインのグラスを呑み零し、静かに椅子に座って、テーブルに伏せて眠っているターンが居る。
「…ターン」
「ああ、少し長く――眠っていたようだ」
あまりに長く寝ると、明日の仕事に支障をきたすからな。と少し笑い、静かに目を閉じる。目を見開いた後、ソファに座り、眠るような態勢になる。が、ファーマはターンの身体に乗った。ジャケットは床に落ち、向かい合わせの体制になる。
「まだ…昼間の続き、していない」
ああ、あの時の昼間の続き――と自分でもそう思う。我ながら滑稽で浅ましい行為だったなと思うが、ファーマは滑らかな足を彼の腰に引き合わせ、したい。と言う合図で目を閉じる。カラン、と彼の手から本が落ち――彼女の腰を引き合わせる。
「ああ、そうするが――容赦は、しない」
それが、理性の鎖が引きちぎられる事だとしても。

「やぁ、あ…!」
両腕をロープで縛り、乳房を揉む。ロープはベッドの向かいのランプに縛っている。自らの支配欲を高めたいのか、このプレイは久々だ。どんなプレイが待っていると思えば、この様な痴態を晒されるプレイだとは。舌から唾液が流れ落ち、ふーふーと息を鳴らす男が後ろに居る。ぎゅううと人差し指で乳房の乳輪をひとつまみをし、ファーマは目を開く。
「そろそろ、お前の其処もっ…!我慢が、出来ないの、だろっ…!
興奮を隠しきれていないペニスが欲を滴り、ぺろりと彼女は挑発する表情で見上げる。小指と親指を使い、赤い毛を掻きむしってどろりと滴りを隠せないヴァギナを開く。
「あああっ…!」
「……っ!」
柔らかな乳房を揉みしだき、腰を振り始めた彼女に、雄を打ち付ける。子宮口を叩きこまれ、もっと高らかに上り詰めたいと言う欲に駆られる――が、明日の仕事に支障が出る。腰を打ち付けられ――陰核を引っ張り、声なき声を上げる。
「いやっ…何で…ぇ!?」
「ドク、ター…やはり、続きは…この仕事が―――っ!!」
限界を迎え、どろりと愛液を零しながら、ターンは彼女のヴァギナからペニスを引き上げ、ヴァギナの周りに精液をぶちまけた。高らかに絶頂を迎えた彼女は、崩れ落ちる。その後、息を荒くしながらソファで再び態勢を整えるのであった。

「続き――この仕事が終わったら、やってくれるのだろう?約束だからな」
あれは麻薬よりも高らかに効果があるやりがいだった。とターンはそう思った。ファーマは彼の身体を抱き締め、傷だらけの肉体を見上げる。彼の頭を撫で、すやすやと眠り始める。
「さて、この仕事が終わったら如何なる事やら…」
ベッドで眠る彼女の表情を見て、困ったお医者様だ。と愚痴りながらも、静かにランプを消し、眠りについた。


「続き――この仕事が終わったら、やってくれるのだろう?約束だからな」

その約束が果たされる頃合だろうか。自室の近くでシャワー音がする。ファーマはレースの黒いゴシックの模様が刻まれた下着の下に、レースを模した黒いガーターベルトを装着している。何故、約束の為に此処まで準備したのだろうか。と軽く後悔したが、シャワーを浴びて帰って来たのか、何も身に着けずに自室のドアを入って来たターンは、ファーマを見つけた途端に、ベッドに座りキスをした。傷だらけの唇に、最初は淡い口付けをしていた筈なのに、段々互いを求めあう口付けになって行った。
「んぅ…はっ…ちょっと、激しい…か、な?」
唇の上の部分を吸い上げられ、ちゅ、ちゅっとリップ音が響く。舌で唇を舐め、ファーマはターンにされるがままだったのだが、ファーマは仕返しだ。と言わんばかりにターンの顔の傷跡を舐める。口付けに没頭している最中、ターンはファーマの下着に気付き、厭らしい目つきに気付いたファーマはターンの上に乗り上げる。
「…私も、やりたい」
黒い芝生に覆われた起立したペニスを舐め上げ、淡いざらざらとした舌で舐め上げる。じゅぽじゅぽと音がして、ターンは声を抑え、ファーマのフェラチオからやってくる快感を抑える。
「んぅ…これじゃ、足りない」
ブラジャーを外し、乳房でペニスを包み――乳房で雄を動かし、ファーマの口もそれを吸うように動いた。水音が響く最中、ターンは限界に達し、白濁とした精液をファーマの顔に吐き出した。

ターンの言うように下着を中途半端に下げられた上に四つん這いにさせられ、ファーマは「は、恥ずかしい…」と言った。後ろから見たらヴァギナと小さな豆粒を外角に晒されている感覚に陥っている。すーすーするよっ…と言うが、ターンはそれをお構いなしに静かに、舐め上げた。
「ひっ…あ、あああ〜〜〜〜〜っ!?」
クンニは久々だろうに。とターンは苦笑しながら、ヴァギナの周りの赤い陰毛を皿を舐める赤子のように舐め回した。
ターンからの愛撫を受け、彼女はシーツを掴み、びくり。と硬直しながらも、ターンが膣に指を二、三本入るまで、指の挿入を耐え抜いていた。
「ドクター…」
もう、我慢が出来ない――早く、シタい。と言う軽く、甘ったるい声で彼女を誘惑する。ファーマは「お願い、だ」と言い、どろりと愛液を垂らしたヴァギナをくぱぁと開き、見せつける。
「ご褒美、頂戴…」
理性の音が切れた彼は、起立したペニスをヴァギナに挿入する。ぞわり。と熱く、やわらかい異物が膣をはち切れんばかりに水音を立てながら、子宮口へと向かう。柔らかく、彼女のいい所を優しく突き上げ、ファーマは甘い声を出す。彼の上に乗り上げ、やわらかく、麗しくもとろりとした乳房を見せ上げ、揉んで、優しくして。と言わんばかりに揉みしだく。
「あああん…やああん…あああん…やだぁ…」
良い所を突いて、ペニスをヴァギナから放して、また同じ事の繰り返し。先日、ご褒美をしなかったのは少し失敗だったな。と苦笑しながらも、腰を振った。ファーマも甘い声を出し、やがて子宮口がぎゅううう…と限界を迎える頃、ターンの理性が完全に発り切れる音がし、強く突き上げた。
「んぁっ!ああっ……んあああああああ……!」
ファーマの乳房を強くつかみ、どくりどくりと、精液が子宮に流れる音がした。支給を満たすまで、どくりどくりと、流れる音が止まるまで、ファーマは彼にキスをする。青い瞳から、ほろりと涙を落したのは、美しいと思えるだろう。そう思えた気がした。

「……それと、ご褒美……ありがとう」
ご褒美は其れだけでは無かった。ベッドで傷だらけの身体を見上げたファーマを、ターンは抱き締める。腕時計。何だ、そういう見計らいもあったのか。とファーマは思いながらも、静かに目を閉じた。



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