ウロボロス

目の前に居る自らの裸体に這いよる女は誰だ。医者である彼女に宿す蛇神は誰だ。それは変形を司る神であり、変化と無限を齎す蛇神とも言われている神であるアダプタスは、彼女の身体に宿る。元々頭部を撃ち抜かれ、その頭脳に宿る神は、彼女に這い依る蛇だった。服も何も付けず、ズボンの上に自らの股間を擦り付ける。不味い、彼女の牙に噛み付かれる訳にはいかない。そうしなければ、この蛇の餌食になる。だが、自らの股間を人差し指でなぞり、ゆっくりと刺激を受ける様に思わず悲鳴とも思える声が出てしまう。彼女は目を閉じながら、自ら盛り上がった雄の部分を人差し指で刺激をさせながら、言った。
「お前は少し、酔狂に酔わなさすぎる。掟を尊重したがる神でありながら、変化を恐れている…どれ、少し宴を楽しむ様を見せてみろ」
裸体の吸盤と思える胸の飾りを蛇のような赤い舌で舐め、ビクリと身を硬直させる。これは、不味い―――自分はそう思いながらも、彼女の掌に踊らされていた。胸の飾りから少し下の脇を舐める。やがて自分の手を握り、彼女はその人差し指を白混じりの赤い茂みに向けた。
「さて、お前と私と交われば子が成される――神々が交ざり合えば、また神の子が生まれる。そう思わないか?」
「…ハハッ、貴様は…彼女の身体に宿りながら、よくもそんな事を言えるな…!差し詰め、彼女の見目麗しい裸体に這い依る蛇の様だな…!」
ベルトを外し、興奮を外せなくなった雄を見て――くぱぁと彼女はヴァギナを開き、自らのペニスを迎える準備を着々と整える。不味い、このままでは彼女の思惑通りに――!だが、その思いの反面雄は彼女の子宮の襞に快楽に包まれ、エクスタシーのボルテージを高められる。最も、彼女は露出した乳房を自分の掌で握らせていたのだが――赤い髪と、少し見える白いメッシュは紛れも無く彼女である証なのだが、彼女は彼女ではなく、彼女は依り代であり――アダプタスの操り人形に過ぎない。増してや、彼女の人形のような顔は、何処か虚ろに見える。
「くうぅ、うう…」
興奮する雄に甘い痺れを覚えた故に、自ら律動を行う…最も、ペニスに包まれる襞に甘い痺れを覚え、自らに腰を振るようになった自分の浅ましさを呪う事になるとは。シーツを握り、興奮を隠せない表情をしている彼女を見る。乳房の合間に刻まれた神の刻印をなぞり、金色の汗を滲ませた陰毛と赤い茂みを絡ませ、時折見せる恍惚の表情は、紛れも無く彼女だった。けれど、彼女の見せる時折狂気の表情は、神々の残酷さを表していて――それがとても恐ろしく思えるのだ。腰と腰を這わせ、自らの快楽を貪り、互いに刻まれた烙印に舌を這わせる。それが官能的だと思える光景は、浅ましいと思えてきた。
脳内で両腕に拘束具を付けられた医者の女の身体に、蛇が這い依る。蛇神が赤い毛に這い依り、膝に巻き付く。甘い悲鳴と嬌声を這わせながら、蛇神に身体を貪られていく――そんな光景が、見えてしまうのだ。
そう、これは悪夢だ。そう思えてきたら、どんなに楽だろうか――が、これは夢ではない。紛れも無く現実だ。
限界を迎えてきたのか、彼女はあ、あ、と虚ろな悲鳴をするようになった。だが、今彼女に射精をする訳にはいかない。これは愛ある身体の抱き合いではなく――人形のように扱う神の悪戯に過ぎない――!が、耳朶に舌を這わせ――その甘い痺れの舐め合いに一種の快楽に溺れ、溜まりに溜まった白濁とした精液を彼女の子宮に叩きつけた。
激しく抱き合った後、ベッドに沈んだ彼女を見てーー溜息をつく。あの時とは違う、浅ましさを覚える様な姿を。シーツを握り、赤い髪と少量の白いメッシュをして、豊かさを覚える乳房と、その乳房の合間に刻まれた神の烙印。精液が零れかけ、赤い茂みが精液に濡れている。眠っている姿は確かに大人しいが、あれは紛れも無く神々による人形遊びのように思えてきた。タイレストはそう思い、静かにため息をつきながら部屋の扉を閉めた。



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