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『お前は、どうして其処まで』



何処かの惑星にて、噂で耳にした彼を見つけた。ダイアトラスの所に居たと言う、その男は精神、肉体的に弱っていた。薄暗く、眼の光はとっくに消えていた。それは死にたがりの目だった。死にたいと願っている男からは、誰かを呼ぶ声がする。目を細め、睨み乍ら、その男に話しかける。
「おい、貴様――死にたいか、生きたいか?」
彼は何も答えなかった。首筋の襟を掴み、無理矢理答えを聞き出そうとする――だが、口から出たのは、あの男の名前だった。
『お前は、どうして其処まで自分を責める』
ダイアトラスに言われたくない、言葉だった。彼には居場所が無い。だが、自分も同じだ。彼はあの騎士のようになりたいと、オートボットにもディセプティコンにもなれない、中途半端な存在だった。自分は、どちらも所属していない―――居場所すら愚か、自分自身すら信じる事を諦めていた。
「貴様も、すぐさまあの男の所に逝けたら良いのだが」
彼の首をぎりりと、強く締めた―――どうせ、あの時だって自分はいつも、諦めていた。



「お前は、どうして其処まで自分を責める」
自室で本を読んでいた矢先に、ダイアトラスが入ってきた。自分は本を閉じ、本棚に容れた。
「貴様にはウィングが居るだろう」
そう返した。あの時、クリスタルシティでの論争をしていた時とは打って変わって、不安げな表情だった。
「―――私がそうするしか、出来ない騎士だからだ」
「守るものがあってこその騎士だろう。何故騎士そのものを否定する」
「…正義でしか、何かを成し遂げられないなら、私はそれを選ぶ事しか出来ない騎士だから」
それは違う。とダイアトラスは言うも、自分は既に、自室から出て行った。

男を絞め殺すのを止めた。騎士道に反している――そうダイアトラスに言われた気がした。自分はそういう道しか選べない男だ。ウィングの騎士たる精神が、嫌に思えてしまう。だが、あの男は違う。
『――俺は、お前に殺されたいよなぁ?』
『――だって、お前は確かに俺達から見たら『誇り高い騎士様』だからな』
どさり。倒れる音がした――――いつか、そうやってあの男に殺されて死ぬか、神様の為に死ねるのなら本望だ。けれど、何も縋る事が出来ない男を見て、自分は微笑んだ。
あぁ、そうやってあの男が大事にしていた彼を――壊してしまうように思えるのだから。

(拙宅のスターセイバーは人間不信オアプライマスと裁判長以外全員信じられない人です。自分が信じられない存在ですし、ウィングが羨ましいとは思ってるけどそれすら諦めてます。デスザラス以外に殺されたくないと思ってます。
オートボットになれないしディセプティコンに戻れないドリフトと何もかも諦めてるスターセイバー、書いてて楽しかったけどドリフト姉貴に殺されないか正直不安です。)




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