雨音色

しとしとと雨が流れている。ざあざあと洗面台を見上げる。赤い長髪に白い繊細なメッシュをしている時に、髪を結ぶのも面倒臭い。真っすぐだけど冷酷な性格をしているとか、冷たい美人だの昔サークルオブライトの同僚にそう言われた時もあった。ぽたぽたと滴が滴り、床に落ちる。髪飾りをリビングに置いてしまったのもあって、髪を乾かすのも面倒臭くなった。ふと、洗面所に足音が近付いてきた。
「風呂、出たのか?」
デスザラスはそう失礼な事を言いながらスターセイバーに近付き、シャワーで濡れた髪を持って来たタオルで拭く。お前はダイアトラスやサークルオブライトの時は几帳面正しい性格をしているけど、俺のところに来るとガサツな部分が直ぐにボロが出るなと苦笑をしながら長髪を綺麗にタオルで拭く。
「デスザラス、お願いがあるのだが」
「何だ?」
「髪を切って欲しい」
「髪を?」
少しさっぱりしたい気分にしたいからな。とスターセイバーがそう言うと、黒いシャツを整えながら椅子を洗面台の前に置き、髪を整える。デスザラスが洗面台の横に置いてある物置き場から鋏を取り出し、スターセイバーの長髪に鋏を添えて髪を切り始めた。

「お前と初めて出会った時は驚いた」
デスザラスはそう言い、チョキチョキと赤い髪を床に落としながら櫛を持つ。
「何処かの惑星で援軍に応え、着地した最中に剣をディセプティコンの兵士に向けた。邪魔だと言いながら切り捨てる姿は関心、恐ろしいな――いや、美人は冷たいなと思った」
「貴様もCEが居るのだろう?」
「エスメラルは別だ。愛する妻だからな――それに、部下の一人も妹が居るから」
「話を戻すがな、お前は俺を見て「貴様はプライマス神を信仰しているか?」と問いかけたから、さぁな。と俺は答えた。その時のお前は何て言ったと思う?不届き者――ってさ」
赤い髪を拾い集め、洗面台に流す。櫛で髪を整え「出来たぞ」と言った。スターセイバーは髪が短くなってるのを見て「軽くなった気分だ」と言い、洗面台から立ち上がった。

リビングのソファでスターセイバーは難しい本を読んでいる。デスザラスからしたらさっぱり分からないが、恐らくはプライマスに関する本だろう。ソファに寝そべっているデスザラスはスターセイバーの膝を枕代わりにしながら胡坐をかいていたが、彼はある事を思いついた。
「なぁ、お前俺のところに来ないか?」
「何度も言っている筈だ、断る」
「やっぱり冷たいな、お前」
「煩い」
「必死に誤魔化してるつもりか?」
「私はお前のところに雨宿りしているだけだからな」
「…何度も俺のところに来て」
「…………」
スターセイバーは黙る。デスザラスは「お前はそう言う性格だよ」と返し、スターセイバーは立ち上がる。
「何しに?」
「朝食を作りに……まだ、朝食を食べていないだろう?」

雨が止む気配は、やはりしなかった。



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