epilogue:君の銀の庭




すべての夢の終わりの先へ。

「全く、この料理はまずいと言っている!」
スルトはそう言い、野菜を残した皿を持ってベッドでそう言っていた。
「だからお前は野菜嫌いを克服出来ないんだよ」
「何を言う!妹は野菜を嫌っていたんだぞ!?」
「だから、お前は野菜嫌いを…って何回も言わせるな!」
シグムンドは、病院で入院しているスルトを見舞ったが――スルトの性格に翻弄されていた。シグムンドが炎の間と巨人の間に駆けつければ、ヘラクルスとスルトはまだ生きていた。残念だが、バルドルとウートガルザは、すでに息絶えていた。バルドルは、満足な顔で死んでいたが…彼は、最期まで何かを満足して天国へ旅立っていったのだろうか。
ヘラクルスは今、別室で入院中だが――シグムンドはスルトの元へ向かい、同僚の入院を見ていた。
ファフナーの行方は、分かっていない。が、彼の噂を快くないと思っている者も居るのだから、自業自得とは…言えるべきでは無いであろう。彼もまた、ロキによって翻弄された被害者なのだから。
「だいたい貴様は馬鹿だと言っている!それだから、サガに神闘衣を半壊させる事態になってしまうのだからな!」
「何を言っている貴様!…ふっ」
スルトは、「何が可笑しい」と言う。
「…お前、笑顔を取り戻したな。最初に来た頃と、笑顔が溢れている」
スルトは再び、「おかしな奴め」と告げる。
「妹が居なくても――生きていけるのではないか、お前は」

「そう、アンドレアスは…」
「はい、そうでした…。私に、そう告げたのです」
ヒルダは――アンドレアスが消滅しても…魂は、彼に告げたのだ。彼ならば、みんなを笑顔にする方法を知っていると。
「アンドレアスは…アスガルドの民を笑顔にする方法を模索していました…けれども、そんな彼の心の弱さを、ロキは付け狙ったのでしょう」
「私が、彼の悩みにもっと気づいていれば…こんな事にはならなかったのかもしれない」
ヒルダは、落ち込む…が、フロディは語る。
「ですが…私なら、アンドレアスの…アンドレアス様の遺志を継いで、みんなを笑顔にさせます!それが――我等の一族では無く…私個人の願いなのですから」
フロディはそう告げ、ワルハラ宮を後にする。ヒルダは、去る間際に…アンドレアスの面影を見た。
(アンドレアス…貴方が居なくても、彼は…大丈夫かもしれません)

今日から、新たな夜明けが来る。けれども、彼が見守っている。
「リフィア」
フロディの、優しげな声がする。リフィアは「フロディ」と彼の名前を呼ぶ。彼女は、彼の手を取る。

だけども――彼の、優しげな声がした。
「頑張れ」と。

だから、私も頑張ってみる――私の願いが、叶うように。

fin.


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