覚悟は笑顔と共に、誇りのままに




人の希望を、消せやしないのだ。

『――その通りだよ、ヒルダ。グングニルの槍さえ手に入れば…オーディーンの力など…敵ではない!』
そんな事の為に――自分達を、利用したのか!?
「そんな事…断じてさせん!」
「うろたえるな――アイオリア!」
アイオリアは、アイオロスに「兄さん…!?」と珍しく自分を宥める兄を見る。
「要は…グングニルの槍が生まれる前に、ロキを倒せば良いの事…!」
『この私を倒す…?人間の分際で、そのような事が出来るとでも!?まして黄金聖衣が無いお前達に…何が出来る!』
ロキは、死者の兵士を復活させる。いいや――聖衣だけで、力を発揮すると思うな!邪神よ!

「真の聖闘士とは…纏う聖衣の強さでは無い!」

力は――己の中に存在している。神の領域であっても――必ず、到達できるのだ。
「自分自身の内なる小宇宙を…どれだけ爆発させられるか、その一点のみ――!」
「兄さんの小宇宙が…!?俺の小宇宙も、共鳴している…!」
その姿に――黄金の翼を見た。
「行くぞ――アイオリア!」

一方のワルハラ宮――異変が、確実に迫っていた。
エインヘリアルと化し――心なき者が、兵士達を襲っていたのだ。目的は――ヒルダを抹消する事か!
「何者だこいつら…!?」
「何としても、ヒルダ様だけをお守りするんのだ!」

交戦中――どうやら、エインヘリアルと化した者達の力は尋常ではない――恐るべき力を発している。
(ロキ…まさか、この私を殺す為に…!?)
ロキの狡猾なたくらみは、此処まで及んでいたか!
「ヒルダ様――此処は危険です!お逃げ下さい!」
兵士は叫ぶ――が、侍女達を置いては、逃げる事は出来ない!エインヘリアルがドアを蹴とばす。
「ロキが操る――死者の兵士、エインヘリアル…!)
万策尽きたか――?

「パールドウ・プリエ!」

救世主は、エインヘリアルを消滅させて――現れる。そう、監禁されたフレアを引き連れて。
「シグムンド――!」
グラムを片手に、彼は高らかに宣言をする。
「亡者共よ…ヒルダ様には指一本触れさせぬ…!この神闘士、グラニルのシグムンドがな!」
人間を――舐めるな!邪神ロキよ!

「我が拳に蘇れ…!獅子の魂――ライトニングプラズマ!」
閃光の一撃が、死者の兵士を消滅させる。
「正義の拳よ、矢となり敵を討て――アトミックサンダーボルト!」
閃光の弓矢が――死者の兵士を葬る。
二つの共鳴する黄金の光が、ロキを見据える。
『フッ…死に損ない共め』
「魂の無い何人来ようと…我等の敵では無い!」
「油断するな――アイオリア!」
だが、ロキは勝利宣言するように、語る。
『間もなく、実が成熟する…そろそろお前達に、消えて貰う!」
闇の光球を作り出したロキは――彼等に向ける。
「来るぞ――!」
「ああ、兄さん――!」
共鳴する心――だが、ロキは無残にも、それを打ち砕く。
『消えろ――人間どもよ!』
アイオリアは、一撃をくらえばひとたまりも無い一撃を見る。だが――アイオロスは、それを遮る。
「お前はここから一旦退け…!」
「兄さん、一体何を…!」
アイオロスは――弓矢を作り――黄金の矢で、攻撃を消滅させようとする。しかし――!
『愚かな…!』
迫る一撃――だが、アイオリアはとっさに駆け出し、アイオロスをかばう――彼の、笑顔がなぜか――つらかった気がした。そして――空高く、ユグドラシルから落下した。

一方、オーディーン像に辿り着いたフロディは、ウートガルザから託された思いを胸に、祭壇へと登っていく。
(持ち堪えてくれ…!俺の体…!もし、俺が死ねば――リフィア…いや、ウートガルザの思いさえも、無駄になってしまう!)
そして、叫ぶ。

「我がアスガルドの神オーディーンよ!我等神オーディーンに仕える神闘士…!そして、アスガルドの民の声も…聞き願いたまえ!」

バルムングの剣が黎明に輝く――それは、希望の光となる第一歩か?
バルムングとともに現れたのは――消え去った筈の、リフィア。リフィアが目を覚ませば――彼は、彼女に跪いていた。


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