Ω Ewigkeit




さあ、至高の恐怖劇を始めよう。

「お、お前は…っ!?」
その声は――恐ろしくも聞いた事がある。そうだ――サガ達が、倒した筈じゃ無かったのか!?
『我こそは――アスガルドの神…ロキ。オーディーンに代わり、この大地を支配する者』
嘘だ――では、あの恐るべき力を発揮したアンドレアスに憑依していた者は!?
「馬鹿な…!お前の復活は、アテナエクスクラメーションで阻止された筈…!」
『私の拠り所が…あの男の肉体だけれあれば、復活する事は難しかったであろう――だが!』
ロキから――尋常ではない闇のエネルギーが発せられた。これは――絶望を告げる足音か、それとも――?アイオリアは、押されるも――退く事は出来なかった。そして…ロキの本当の実力が明かされる。

『既に私は備えていたのだ…このローブと言う、もう一つの拠り所を!』

そんな――彼等が行った頑張りも、想いも――全て、無駄だったと言うのか?
「邪神ロキが…完全に復活してしまうとは…!」
『間もなくだ――、あの蕾の花が開いた時…我が野望は成し遂げられる!』
告げられる絶望、それでも――絶対にあきらめない。けれども、何も出来やしない…これが、絶望と悲劇の連鎖。
「そうはさせぬ――!実が、完全に成熟する前に――俺が…貴様を――倒す!」
高く飛び――拳を、ロキに向ける。それでも――一撃を加えられれば、勝機は確実にではないものの…僅かのチャンスが、あるかもしれない!
しかし、拳は――掌一つで、止められた。
『まだ戦う力があるのか…ユグドラシルから、一人逃れた事はある――だが!』
視線は――アイオリアを捉えた。そして――簡単に吹き飛ばした。
『お前ごとき人間に――増してや、聖衣を失った状態では、私に触れる事すら出来ぬ!』
翻弄されている――これが、神の領域と言った処であろう。だが、勝てるのか…?神に。ロキは吐き捨てる――『抵抗する気も失せたか』と。
『命を翻弄され、何も出来ず――無力な己を悔いて、お前は再び死んでいくのだ』
そう、ではない――何も出来ない訳ではない。唯、希望がまだ残っている限り――戦える。けれども、何か出来る事はあるのだろうか。それでも、諦めない心と――折れない心は一心同体と言えるべき存在。
そして、何かが降り注いだ。
(金色の、小宇宙…?)
聖衣だ。力を失った聖衣は――邪悪なる実を円状に回るように、寄り添っている。
(黄金聖衣が、泣いている…)
けれども、何も出来ない。それは、酷く痛感していた。静かに寄り添っている聖衣は――何を、意味をするのだろうか。
(こんな、無様な俺の為に――黄金聖衣が、涙を流している)
だが、ロキは嘲笑する。
「聖衣が涙…?訳の分からぬ事を…」
だから、今一度――立ち上がる、勇気を!
「動け――動け!俺の、俺の――体!俺の――小宇宙!」
ロキは、立ち上がり続けるアイオリアを見据えて、嗤う。
『完全なる絶望を前にしても、それを認めようとせず、希望と言う名の幻想に縋るか…人間とは、実に哀れな者よ』
触手が、再び動き始める。アイオリアを、捉えて――彼に襲い掛かる。
『さあ、人間よ――これで、終わりだ!』
だが――一筋の光が、触手を破壊した!


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