氷の棺
「我々人間は未来を信じる為に「希望」を懸けるのだ」
凍てついた氷の間――ヤーヘイム。
「はああああっ!」
カミュの絶対零度の一撃が、シュラを襲う。シュラは、其れをかわしながら――カミュにエクスカリバーを向ける。だが、カミュはシュラのエクスカリバーを残像でかわし――拳と拳を打ち合う。
「貴様の事だ――アスガルドの側で戦うには…相当な覚悟があっての事に違いが無かろう…だが、俺は理由は聞かぬぞ!」
「お前らしいな――シュラ。思えば共に蘇ったのは…これで二度目か」
「かつて共に女神を救う為…サガとともにハーデスの配下に身を窶した。あの時我らの胸にあったのは――目的の為に味方をも欺き、手に掛ける…揺るぎの無い、氷のように堅く、そして熱い魂を秘めた小宇宙…!」
冥界の王ハーデスに偽りの忠誠を誓い――多くの傷と慟哭を秘めた体で、かつての同胞と戦った。だが、それは辛く、苦しい戦いであった。死する事も叶わず、魂の凌辱を受けながらも――結末を迎える為に、悔いは無い。
「この大地に蘇った我らは――異なる道を選んだ」
「だが道は違えど――小宇宙の強さは同じ!」
衝撃で床がひび割れた。全てが破壊されるのか、それとも――!?
「最早互いに無事ではすまん、だがこうして貴様と存分にやりあえるのだ。遠慮はせぬぞ――!」
「無論だ…お前のエクスカリバーを相手に、我が氷の拳を振るえる機会…この三度目の命に感謝しよう」
「――煌け!」
「――研ぎ澄ませ!」
「「俺(我)の(が)小宇宙よ!」」
「――この光――来るか?」
傍観者は語る。それは、まるで死に到る病のように。
「行くぞカミュ――!」
「シュラ――!」
「神聖衣の刃の切れ味は、これまでとは違うぞ――!」
「神の力を与えられし、我が氷の拳に砕け散れ!」
「エクスッ…カリバァァァァァァ!」
「オーロラ・エクスキューーーーーション!」
二つの一撃が…同時に襲いかかる。
「面白い…神聖衣と神聖衣の戦いか…果たしてどうなるか…?」
壮絶なる戦いの果てに――訪れたのは、無だけ。
*冒頭のセリフは聖闘士星矢エピソードG10巻のカミュのセリフより。
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