君ト云ウ 音奏デ 尽キルマデ




奏でるMelodyは光となって現れる。
羽搏け、そして世界を歌え!

アイオリアがたどり着いたのは――勇者の間・ヴァナヘイムだった。北欧の勇者を模した像が聳え立ち――まるで聖堂と思える場所のようだ。
「此処は…?」
すると、そこに現れたのは――!
「ほう…知った顔が現れたか」
「フロディ…!」
グリンブルスティのフロディ…彼は、この部屋を説明しながら語る。
「此処は勇者の間――ヴァナヘイム」
彼は、一歩一歩歩きながら――語る。
「勇者の間――ここが七つのうち、ひとつ――」
するとフロディは、剣を構えて――叫ぶ。

「お前は私がここで倒す――行くぞ、アイオリア!」
「っ…!」

どうしても…正義と正義のぶつかり合いをしなければならないと言うのか!?

アルデバランが辿り着いた巨人の間・ヨートゥンヘイムで待ち受けていたのは――タングリスニルのヘラクルスだった。
「よく来たな――タウラス。此処は我が巨人の間…ヨートゥンヘイム!闘技場での借りは…返してもらうぞ!」
「ふっ…またお前か」
「あの時は神聖衣とかやらの騙し打ちでやられたが――今度はそうはいかぬ!」
「何を言う――!騙し打ちが得意のは――貴様等の方であろう!?」
因縁の対決が今――始まった。

ムウがたどり着いたのは、知恵の間・スヴァルトアールヴヘイム。そこには誰もいない――筈であった。
「フッフッフ…牡羊座のムウ、その様子では…これまでのダメージが回復出来ていないようだな――」
だが、ムウのサイコキネシスで無残に吹っ飛ばされたファフナーは、哀れにも悲鳴を上げた。
「私は無駄話を聞きに来たわけではありません」
そんなのアリかよ!?とファフナーはこの時思った。
「グッ…以前のようにいくと思うなよ!此処は――俺様が受け持つ知恵の間・スヴァルトアールヴ…ぼわっ!?」
頼むから人の話を聞いてくれ!とファフナーはこの時再び思った。
「無駄話はしないと言った筈です――」
ファフナーは(何でこいつ人の話や空気を全く読まないんだよ…)と三度思ったと言う。

シュラが辿り着いたのは――氷の間・ヤーヘイム。予想通り――待っていたのは――水瓶座のカミュ。
「アスガルドの側に付いていたと聞いていたが…本当だったらしいな…既にアフロディーテとミロが倒された以上、俺は貴様に容赦するつもりはない」
「分かっている――それは、俺も同じ事」
(一人称が――違っているな。以前は、私だった…筈なのに、な)
シュラの体が凍りついていく。だが――シュラは「それを聞いて安心した、ならば心おきなく振るう事が出来ると言うものだ」と言い…凍てついた氷を『斬った』。
「我が――エクスカリバーを!」
因縁の対決ではなく――己が正義の為に!

童虎が辿り着いた死者の間・ヘルヘイムは――何かを感じさせるようだった。祭壇に立っていたのは――フードを被っている、謎の人物…。
「お主がこの間の番人…!?」
突如現れたのは、死者の兵士――エインヘリアル化した者達であった。
「…死者の兵士!?まさか、この場所は…死者を蘇らせる為の!?」
死者の兵士が大量に襲いかかり――童虎は戦慄をした!

「こちらの思ったとおり――それぞれの間に向かってくれたか…もうじき残りの連中も駆けつけるだろう…そしてあの男も…」
だが、傷痕が再び疼いた。
「ぐっ…!」
聖衣が置いてある場所に向かえば、なにかある事に気がついた。
(僅かに成長が遅れている…!?まさか…あの男…!?)

アンドレアスは、アイオロスに攻撃をした。アイオロスは――「この小宇宙は!?」と驚愕した。
「他の黄金聖闘士も復活している…!?全てお前の仕業か――アンドレアス!」
「此処で倒される貴方に――知る必要があると思えぬが!?」
アイオロスは弓を構える。
「死者を蘇らせるのは――神の力が必要な筈!」
無数の矢の大群が襲い掛かる――が、アンドレアスは、ユグドラシルの力を使って塞いだ。
「何!?」
アイオロスの足を根で絡ませ――アンドレアスは、一撃を放った。
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!」
アイオロスは、吹っ飛んだ――そして、ある事に気づく。
「まさか――吸い取られていると言うのか…!?私の小宇宙が!?」
「今頃気づいても遅い――貴方達黄金聖闘士の小宇宙は、ユグドラシルの養分となる…ユグドラシルに近ければ近いほど…吸収する小宇宙の量も増大する」
アイオロスに、再び一撃を加える。
「ユグドラシルの近くに転生し――しかも真っ先にこの私と戦う事になるとは…つくづく運の良い」
だが、アイオロスは再び立ち上がる。
「観念するが良い――貴方は、これから私の手によって――最初の生贄となる。せめて不幸な星に生まれた運命を――呪うが良い」
止めを刺した――筈だった。だが、それはアンドレアスの計算外となってしまったのだ。
一撃を防ぎ――アイオロスは、弓を構える。

「運命を呪うだと…!?こうして貴様と相見えた事は…私にとって何よりの幸運と言えよう!」

「その様な状態で尚も抗うとは…女神の聖闘士は往生際が悪い!」

「今の私が勝てずとも――この一撃は、何れ我ら黄金聖闘士が――貴様を倒す為の礎となる!!」

大地が震える――アンドレアスは、歓喜に似た感情を持った。これは――一体?

「燃え上がれ――私の小宇宙ーーーーーーーーーーーーーー!」

黄金の矢が――煌く。
「ならば、無駄死にするが良い!」
攻撃を貫き――黄金の矢は――アンドレアスの目に貫いた。
「――残念だったな――アイオロス」
しかし、けれども――アイオロスの願いは、何れ分かる事になる。

(間違いない――奴にはもう、あれ以上の力は残っていなかった…そうだ…ユグドラシルに影響を与えているなど…あり得る筈がない…)

そして、始まる決戦――その先にあるのは――悲劇か、喜劇か――。


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