高天の支配者




支配と言うのも悪くはない。
バベルの塔の支配者になったつもりでいても、世界を見下ろせるからだ。

――そう、何時だったか。
彼が、病に倒れたヒルダに代わり…地上代行者になったばかりの頃だった。

「何の用です、アンドレアス」
彼女は、アンドレアスを見て――嫌な声を出した。
「本日は――ヒルダ様のお見舞いに参じました」
「どの口がそのような事を…!」
アスガルドの兵士を利用させ、フレアを監禁し…彼女を幽閉同然にも追い込んだ。
「それだけに足らず、あのような禍々しいものを蘇らせるとは――!」
「何を仰います!?ユグドラシルは、このアスガルドの大地を豊かに――!」
「偽りの豊穣に惑わされし、人々の魂を糧に――大樹ユグドラシルはその根を大地に伸ばす。樹内に宿りし災いの種が育つとき、それはやがて――邪悪なる実となり、この大地を滅ぼす…」
アンドレアスは、ヒルダの妄言を聞く耳持たずにした。

「ヒルダ様から目を離してはいけませんよ――」
兵士にそう告げ、彼はある場所に向かった。

豊穣を齎せしユグドラシルの景色を見に行くと――一人の来訪者が現れた。
「私に何か御用ですか?」
そのマントを被った者は――紛れもなく、黄金聖闘士の一人――射手座のアイオロス。
「オーディーン地上代行者アンドレアスよ…あの巨木について聞かせて貰おう――このアスガルドでは一体!?」
アンドレアスは、禍々しい一撃をアイオロスに向けた。周囲に爆発が起き――消し飛んだと思ったであろう。

「まともに話をする気は――無いらしいな!」

黄金聖衣を纏ったアイオロスに――アンドレアスは、囁く。
「お前は――!?」


「射手座の――アイオロス。では、奴は今!?
「心配はいらぬ、それよりも――黄金聖闘士が動き始める頃だ。持ち場に向かうが良い」
「はっ!」フロディはそう叫び…勇者の間へと急いだ。アンドレアスが用意したのは、黄金聖闘士を模した駒と――7つのチェス盤。
「さあ――始めるとしよう」
至高の恐怖劇が、今。


≪ ≫
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -