黒輪縛鎖(こくりんばくさ)




過去は、乗り越えられるさ。

全く、話を聞かない人達だ。ミロに神聖衣の説明をしたものの、ミロは「話は後で聞く」と後にしたのだ。人の話を聞かないのは、相も変わらずだ。聖戦でサガ達と対峙した時に、徹底的に痛めつけてギャラクシアン・エクスプロージョンをまともに喰らいかけたのはどこのどいつだったか。ムウはそう思い、話を聞かない人達に溜息を吐きながら――道を進んだ。

ミロの前に現れたのは、謎の黒衣の人物だった。どうやら、神闘士でも無さそうだ。と言う事は道に迷ったのか?そう思った瞬間――予想だにもしない出来事が起こった。
片腕が凍った。まさか――カミュ!?いいや、カミュとは違う…未熟な小宇宙を感じる…が、懐かしい顔だった。
「この俺の身体に打ち込まれているだと!?」
いいや――その顔触れは、懐かしいとは言えない。何故なら、白鳥座の氷河本人だから!

アイオリアとリフィアの前に現れた黒衣の人物、そして童虎とアルデバランの目の前にも二人。
謎の黒衣の人物の攻撃を受け止めた童虎は…その素顔に絶句をした。
「お主…!?」
その顔は――龍座の紫龍!一体、彼が何故此処に!?アルデバランを相手しているのはアンドロメダ座の瞬――、だが、油断してはいけない。一度は黄金聖闘士を打ち負かした青銅聖闘士なのだから!
「ペガサス…!?」
アイオリアを相手にするのは、天馬座の星矢…。一体、なぜ!?
「まさか…ハーデスに敗れ、我々と同じように…!?」
アイオリアは、膝をつく。
「だとしたら…アテナは…もう…!」
だが、リフィアは何かが可笑しい事に気づき、叫ぶ。
「惑わされては駄目!恐らくそれはフィンブルの冬…ユグドラシルの力で生まれる迷宮で、心を惑わす影に会い、行くべき道を失ってしまうの!」

「悲劇と言えども、感動のご対面だ…至高の恐怖劇の続きは、まだ始まっているばかりだ」
アンドレアスはそう言い、恐怖劇を傍観していた。

「死人を蘇らせたと思えば次は幻か…グレートホーン!」
瞬の幻影を一撃で消滅し、アルデバランは妙に機嫌が悪かった。
「やはり、アスガルドの戦いは性に合わん…」
童虎は楽観的に彼を宥め、襲い掛かってくる紫龍の幻影を相手にして語る。
「愚痴るな、アルデバラン…しかし、幻ごときをぶつけて来るとは…随分となめられたもんじゃのう」
幻をぶつけて来るとは。アンドレアスは何を考えているのだろうか?とふと疑問に思ったが、その疑問を吹っ切るように童虎は紫龍の幻影に攻撃をする。

ミロは氷河の幻に彼の顰蹙――怒りを買ったのも同然だった。
「例え幻でなかったとしても…今、俺の一撃に迷いなど微塵も無い!」
スカーレットニードルを放ち、氷河の幻影を消滅させた。

「アンドレアスよ…地上の人々の為に、冥界で戦う星矢達の姿をも弄んだ事…必ずや後悔するだろう…!」
彼等の想いを、弄ぶトリックスターは絶対に許しはしない。この拳に閃光の一撃を叩きこむ…が、またも予想だにもしない侵入者が現れる。

「エクス…カリバー…?」
それは、聖剣の一撃だった。


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