DIABOLIC FILTH




反撃の狼煙を、此処に挙げようぞ。

「――サガ!?」ミロは絶句し、
「サガ…!?」カミュは驚き、
「サガだと…!?」シグムンドは憤りを隠せずにいた。
「アテナに仕える最強の黄金聖闘士…!」
一度は道を違えた男でありながら、その力は銀河を爆発させるほどにまで匹敵する男。黄金聖闘士の最強最悪のジョーカーにして――切り札なのだ!サガはスルトが仕掛けた炎の罠を振り払い、スルト達の前に立塞がった。スルトは「ぐっ…」と憤りを隠せずに居たが、力の差はあり過ぎた。いや、間違えれば――下手をすれば、基地を突破されかねない。いくら黄金聖闘士が二人、こちらが居ようとも、明らかにサガは目の前に映る敵を破壊しようとしている!
「待てサガ!向こうにはカミュが居る――奴は俺がやる!」
ミロの叫びも虚しく、サガは殺気立たせる眼でスルト、シグムンド、カミュを睨んだ。
「――地上を蝕む邪悪なる者共よ…!聞くが良い!銀河の星々が砕ける音を!」
宇宙の銀河の星を破壊する衝動、双子座最大の拳であり、奥義が炸裂した。
「ギャラクシアン―――エクスプロージョン!」
スルト達は応戦する暇もなく、銀河の破壊に匹敵する――その破壊力に巻き込まれたのであった。

「…新たな命を授かりながらも、敵となり…仲間に葬られるとは…カミュ、それで良かったのか…!?」
『俺は――スルトの為に、この命を使う』
古き世代の友であったスルトの為に、命を使う。けれども、それは仲間を裏切る行為に等しいのであった。ミロは、悔やんでいた。自分が――カミュを討てなかった事を。聖戦の時も、女神の命を取ると言う偽りの忠誠を持ちながら…仲間を裏切った。だけど、それは――ミロを裏切ってしまったのだ。
「それが奴の選んだ道だ」
サガはそう言い、静かな声で言った。サガは、かつてカミュと共に冥王に偽物の忠誠を誓った仲間であったのだから、少しくらいは気持ちが分かるであろう。けれども、それは――酷く、残酷な真実であったのかもしれない。
「俺は、この小宇宙の導きを信じる――そして、あのユグドラシルを叩く!」
新たな決意を胸に、ミロはそう誓った。けれども、サガが何かを察した。
「ならば――立て。まだ、終わっていない」
「流石は双子座のサガ…だが、残念だったな。お前達の攻撃はユグドラシルの力の前では無力だ」
「なっ…!」
ミロは絶句した。やはり、ユグドラシルを破壊しない限り、我々の力は無に等しいのか!?スルトの発言に、真実を垣間見たミロだったが――サガは迷いも無く拳を向ける。
「邪悪な力がこの地上を脅かすのなら…命に代えてもこの拳で打ち砕く!」
サガの前にシグムンドが襲い掛かり、シグムンドの剣を受け止めるサガ。シグムンドは、ニヤリと不敵な笑みをした。
「かつての同胞にも手加減しない――気に入ったぞ!」
だが、スルトの炎の攻撃に、シグムンドは怒りを隠せなかった。
「邪魔をするな!スルト!」
「焦るな、シグムンド…」
スルトは暴れるシグムンドを宥めた。混乱する事態から脱出する為に、サガは少々舌打ちをしながらも――この場から撤収することに決めた。
「オーロラ・エクスキューション!」カミュの極寒の一撃が放たれ――。
「パールドウ・オルカーン!」シグムンドの刹那の一撃が襲い掛かり――。
「フレイムディア・メイルストーム!」スルトの紅蓮の一撃が舞い――。
「アナザー・ディメンション」――サガの空間転移が、放たれた。
「逃げたか…」スルトはそう言い、脱出したサガとミロを見据えた。
(双子座のサガ…気に入ったぞ…)
シグムンドは、彼とまた戦いたいと願って、再戦を待ち望んでいた――その先に、残酷なる真実が待ち受けている事を、知らずに。

――何処かの雪原にて。
「何所へ行く?」
「決まっている――ユグドラシルだ!」
ミロの決意が胸を響く。彼に待ち受けている過酷な運命を、サガは知らずに居た――が、彼はミロには言葉を投げかけた。
「ユグドラシルの周りには、強力な結界がある。近づけば、近づくほど――我らの小宇宙は百分の一となり…神闘士の攻撃の餌食になるだけだ。それでも、過酷な運命を選択して――行くのか?」
「行ってやるさ――俺は、小宇宙を信じる」
ミロの決心は、ついたようなものであった。


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