SENCE OF DISTANCE




大好きだと胸張って伝える事が出来ない。

「――千日戦争だ、カミュ!分かっているだろうな…」
聖闘士同士がぶつかり合えば、どちらかが必ず死ななければ、この戦いは千日にも及ぶ。その前に、お前とはけりを果たさなければならないのだ。
「――その為に、何故お前と戦わなければならんのだ!?」
悲痛な叫びだった。あの冷静沈着な彼が、何故神闘士に寝返る様な行為を…!?
「――生前果たせなかった、友との約束――」
(友との…!?)
「そう、まだ私が幼かった頃の…」

幼い頃、カミュはまだ、聖闘士になる為に、雪山で特訓をしていた。無邪気ではしゃいでおり、彼は一本の木を砕く為に、拳で木を砕いた――のだが。
地震?とふと気付けば、雪崩が発生していた。聖闘士であるカミュは辛うじて生きたものの――目の前の光景に映ったのは、悲劇として変わりが無かった、目を逸らしたくなる光景だった。
――同じ、聖闘士を目指していた盟友スルト。彼の妹は、雪崩に巻き込まれて――命を散らしていた。

「―-俺は、スルトの為に、この命を使う」
ふざけるな――そんな事を、妹が望んでいない筈だ。だが、カミュは冷静のままにいる。なら、此処でお前を倒す。ミロは、戦闘態勢に陥り――カミュもまた、戦いに赴いた。

一触即発。アイオリアとデスマスクは、お互いを睨みながら戦闘に陥ろうとしている。
「逃げた方が良いぜ、嬢ちゃん…!」
千日戦争に陥ったら、この街が壊滅状態になりかねない。そうしたら――リフィアは、駄目!と叫んだ――が、アイオリアは、戦闘態勢を解除し、「行くぞ、リフィア」とこの酒場を出て行った。
「…はぁ」
デスマスクは、安堵をつきながらも…ある思いをした。
(…そう言えば、ヘレナは何をしているだろうな…)

「アイオリア…どうして、戦わなかったの?」
「どんな時も、自分の信じる道を進むだけだ――そうだろう?」
そうだ、あの時、言った言葉が…リフィアは、何だか恥ずかしい気がした。
「さて――今晩の宿でも探すぞ…―――はっ、この感じは!?」
黄金聖闘士同士が戦っている…!?一つは真紅の小宇宙、二つは凍てつく氷の小宇宙…まさか!?

アフロディーテが、アイオリアから身を潜めて、出て来た後――デスマスクが、何かを言っていたのだ。
「――ふん、俺達黄金聖闘士の息の合わなさは加減は、相変わらずだ…嘆きの壁の時は――ありゃ、奇蹟だぜ」

ミロの拳、カミュの拳がぶつかり合い、いつどちらかが押されてもおかしくない空気になっていた。
(俺は――お前の罪が、友の為になるとは思わない。カミュ――一人で抱えて、苦しんでいたのか…!?なら、俺は…お前の言葉を信じ難いが、お前が――俺に牙を向くのなら、俺は――お前を討つ!)
「スカーレットニードル!」
真紅の衝撃がカミュを襲い、
「オーロラエクスキューション!」
凍てつく氷がミロを襲う、
そのどちらにも強力に及ぶ衝撃は、周囲を破壊しかけた。
「俺はどんな事があろうと…滾る小宇宙が導くままに突き進む!この行く手に何が立ち塞がろうとも…俺の毒針が貫き通す!」
だが、疲労がどっと襲い掛かる。何か――小宇宙が吸い取られるような雰囲気だ。
「ユグドラシル――貴様を倒した後で、破壊してやる!」
「不可能だ」

「退け――アクエリアス!」

再び、戦いの乱入者が現れる。蛇腹剣グラムを片手に、現れたのは――。
「貴様の生温い戦いは見てられん――この、グラニルのシグムンドが相手になってやろう!」
グラムを振るい――シグムンドは、剣をミロに向ける。
「アスガルドの大地に――沈め!」
全く、短気な男だ。遅れてやって来たスルトは、兵士にある作戦を告げる。
(やれ――)
(し、しかしスルト様…)
(いいから、やれと言っている)
(はっ…)
突然、ミロは炎に包まれる。シグムンドが炎と気付き、「これは罠か…!?」と言うも、全ては遅すぎた。
「俺は、こんな姑息な手は好かぬ」
「奴が来る事を分かっていながら、何も手を打たないとでも思っていたのか?」
(スルト…お前は…)
かつての彼は、こんな事をしなかった。やはり、自分があの時――特訓をやめていたら――カミュは、心を痛めた。
「スルト様――あれ!」
兵士が何かに気付き、ミロの後ろに誰か居る事が気付く。スルトは、最悪な切り札を呼び込んでしまったと気付いた。13年間教皇に君臨し――宇宙を破壊するほどの力を持つ男――その名は―-。

「――双子座の、サガ!」


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