おきてがみ




どこにも逃げるべき場所がないのなら、何故彼は此処に居る?

カミュが吹雪の中から現れ、ミロはこの時歯痒い思いをした。また――冥王に忠誠を誓い、アテナの命を奪いに来たように――聖域を、裏切るのか。俺は、お前が一体何があったのか、知りたい。そして、お前には離して貰わなければならない事が沢山ある。
「裏切るのか」
カミュはユグドラシルを守る神闘士の仲間と言っている。なら――問答無用に、自らの手で下さなければならない!

「っ…ぷはーっ!」
デスマスクが酒を飲む。リフィアは戸惑っていた。この人が本当に伝説の黄金聖闘士の一人なのかを。だが、彼の姿はまるで酔っ払いにも変わらない…。アイオリアにこの人は本当に黄金聖闘士なのかを問う。
「アイオリア…この人が本当に黄金聖闘士なんて…」
唯の酔っ払いと変わらないじゃない…と思うが、デスマスクは直ぐに反論をした。
「おいおい、言いたい事を思いっ切り言う嬢ちゃんだな!…でも黄金聖闘士には色んな奴が居るんだぜ。何しろ200歳を超えたジジイが居るんだからな」
ああ…童虎か。とアイオリアはこの時思った。アレはミソペタ・メノスで生き永らえて来たから仕方が無い話なのだが。
「ひ、非礼をお許し下さい…人や性格や立ち振る舞いで人格だけを判断した私が間違いでした」
「言うね〜!」
アイオリアはハァ…と溜息を吐きながら、本題に入った。この戦いに参加して欲しい。ユグドラシルを破壊して、真実を確かめたい…そう思った矢先だった。
「パス」
「っ…!」
怒りで震えそうになった。今の生涯が楽しいから。と言っている――お前は、命を2回も蘇られ、挙句の果ては…!
「こうしている間にもアテナや星矢達は…!」
「なぁ、アイオリア…俺達は冥界で死んだんだぜ。いわば、この命はおまけだ――だから、俺はこの街でこの世の春を謳歌するのを決めたのさ」
アイオリアは我慢が出来ずに、席を立つ
「…其れがお前の答えか」
「お、やんのか…?…分かってはいるが、俺らがここでやりあえば…」

「―――千日戦争、か」
スルトはそう言い、窓辺で戦っている我が友カミュと、敵である蠍座の男を見た。
(ああ…分かっているとも、私は、罪を抱えて生きている。誰しもが、罪を抱えて生きている。アンドレアス様――シグムンド、それに、カミュ――お前でも例外ではない)
分かっている、分かっているのに――答えは、見つからないままだった。


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