いつかの虹、花の思い出




虹色シンフォニー、青い彼方に連れてって。

「何故止めた?あのご婦人に自己紹介をしようとしただけではないか?」
アフロディーテを街の片隅に追いやった後、アスガルドの兵隊がウロウロしているから露骨な行動をしたら面倒臭い事になるだろうが!と怒鳴り散らしながら突っ込んだ。彼は「勿論目立たぬように」――のだが、「その努力の後が感じられないのは何故だ!」と突っ込んだ。アフロディーテはある情報を口にした事で、状況は一変する。

「近くの村で黄金聖闘士が目撃されたらしい」

成る程、黄金聖闘士が神闘士とドンパチやらかしたって訳か。とデスマスクは深く頷いた。全く、蘇ってもとんでもないトラブルを起こす奴らだ…。
「アフロディーテ、お前は如何するつもりだ?連中と一緒に戦うのか?」
「さて、どうしたものかな…」
アフロディーテは、ニヤリとした表情で語った。
「この街での暮らしも悪くないと思っていた所だ」

ミロが目を覚ますと、水音が聞こえたような気がした。水がポチャン、ポチャンと残響が木霊する。
立ち上がると、其処で座禅を組んで瞑想をしていた乙女座の黄金聖闘士――シャカが居た。
「はっ…此処は!?」
確か、スルトと言う奴とカミュの攻撃にやられて――そうだ、カミュ!
「目を覚ましたか」
「シャ、シャカ…!?お前が俺を…?!」
助けてくれたのか。と言おうとした瞬間。
「夕べ川で倒れていた…まだ動かないほうが良い」
シャカは冷静な言葉をミロに投げかけ、カミュが神闘士側に居る事に反感を覚えたミロは、立ち上がろうとする。これはシャカが入ってはいけない問題だ。ミロと――盟友であるカミュとの問題なのだから。
「座して動かぬのが反抗だ」
俺はカミュに裏切られて――俺よりも、スルトと言う男の道を選んだカミュがどうしても許せなかった。だから、行かなければならない。カミュの言葉に意外な反応をせずに、ふーんとした表情をしたシャカは、少し傷を負ったミロが「笑え」と言っている。自分には、やらなければならない事がある。
ミロの道を邪魔する事が出来なかった。

アイオリアとリフィアがこの街にやって来たが、活気溢れる街並みだった。代々アスガルドは古き掟に従い、乏しい暮らしを強いられてきたとリフィアから聞いたのだが――ある人物がやって来た事に気付き、リフィアを裏路地に非難させた。
「リフィア、こっちへ!」
やって来たのはアスガルドの兵士だった。どうやら自分とリフィアをアスガルドの民に尋ねて、連行させようとするのだ。此処は街だ。下手に見つかれば、被害が住民に及ぼしやすい。見つかったら一環の終わりだと思っても良いだろう。
「活気のある所だな…」
活気が溢れており、アスガルドは代々ヒルダが統治しており、乏しい暮らしを強いられて来た――のだが、その光景が全く無いのだ。だが、リフィアは言葉を投げかけた。
「こんなのは全部まやかしよ――ユグドラシルから、危険なものが生まれようとしているわ!」
アンドレアスを危険視しているリフィアだからこそ分かるものの、アイオリアは何も言葉を投げかけなかった。すると、一人の女性がアイオリアとリフィアを見て、意外な言葉を口にした。
「あ、いらっしゃい!お似合いのカップルにはサービスするよ!」
「えっ…!?」
リフィアはアイオリアと恋人関係を結んだ事が無いのに、お似合いのカップルと言われて恥ずかしくなった。何だか恥ずかしい。確か外国の言葉ではラブコメと言われているような言われていないような…ってそんな場合じゃない!
「違う」
アイオリアの言葉がバッサリ空気を切る。そ、そうですよ!カップルなんて…!とリフィアはこの時思ったが、アイオリアはアンドレアスの事を聞いてみた。女性――ヘレナ曰く、彼は度々この街に来て、子供達や街の人達から慕われているらしい。何やら、デジャヴを感じるが――アイオリアは気付かぬフリをした。だが、リフィアは暗い顔をして街の路地裏に歩いて行った。
「リフィア!」
(やっぱり…、アスガルドの人達はアンドレアスが齎したユグドラシルの恩恵に有り難く思っている…やっぱり、私じゃ役不足なのかしら…?)
そう思っている矢先――アイオリアが聞いたことがある声を耳にした。
「なーもう一勝負頼むぜ?良いだろ?」
「っ…金作って出直して来い!」
ドアが見事に開き――アイオリアにとっては悪い意味で――見覚えのある人物が現れた。

「…デスマスク?」
「…よお」

何だか一波乱が起きそうだ。


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