かばんの隠し事




恋心を生み出して何になる?
それでも行け行けGoGo!

「アイオリア、リフィアさん――此処からは分かれて行動しましょう。アイオリアも感じているのではないですか?」
ムウの一言で、アイオリアは確かに、あの感触がまだ残っていた。ビックバンにも匹敵するほどの力が…。それに、ユグドラシルに強力な結界が張られているのが分かったと言っている。
「ああ、あの時ビッグバンに匹敵するほどの力が俺の身体を貫いた…」
形見のペンダントを持ったアイオリアは、ムウの説明を聞いた。リフィアも、困惑しているような表情だ。
「アイオリアを頼みましたよ、リフィアさん」
「えっ?」アイオリアとリフィアが同時に声をだし、ムウはリフィアに近づき、小声で語る。

(時には貴方が猪突猛進する獅子を止めてあげて下さい)

(ちょっと…一体どういう事!?)
リフィアはムウの不可解な発言に、ただ困惑するばかりであった。失礼な事を言う人だ。だが、確かに頼りになる人だと思っていたのだが――。

ヘレナの親は大分昔に亡くなっている。残された兄妹達の食事のお金を出す為に花屋でお金を稼いでいるが、持病の発作が何時出るかが分からない。と最近医者に告げられたばかりだ。だが、弟や妹の為に頑張らなきゃ!と思うと、正直、身体が辛くなる。けれども、頑張らないといけないのだ。

「よっ、やってるか?」

「いらっしゃい。いつもどうも!」と明るく声を告げる。彼はデスマスク。最近、この街にやって来た青年だ。明るく、朗らかな声を出しているが、ガサツな性格が表に出ているのだ。
「へっ、調子良さそうじゃねえか」
「ごめんなさいね…」
「アンドレアスとユグドラシルの加護があって作物も人も活気付いているから…買ってってよ、男前のお兄さん!」
「ば、馬鹿野郎!ったくよー、俺には花なんて…」
だが、予想(不可避であるが)した人物が現れ、話は逆方向に流れてしまった。
「では、その赤く美しい薔薇を…」
薄い水色の髪をした美しい美貌の青年は、ヘレナが売っている花に向かってその赤い薔薇を指した。アフロディーテ何をやっているんだ!とデスマスクはそう思い、溜息がつきそうになった。
「あら?お兄さん達お友達?」
別にお友達ではない。まあ冥界では一緒だったのだが。と心の中で愚痴っているデスマスクは、アフロディーテ何をやっているんだ…と心の中で再び思ったとかしてないとか。
「いや、別に友達じゃあ…ねえよ…」
取り合えず誤魔化さないとアスガルドの兵士が来たらどうする!と再び思った。
「いや仕事仲間じゃねーし…」
此処は一旦誤魔化さないと…だが、アフロディーテの行動が傍迷惑なのは変わりが無かった。
「我は天と地の狭間に輝きを誇る美の戦士…ふがっ!?」
「(お前は何で何時も空気読まないんだよおおおおおおおお!)じゃーな、またな!」
青年の口を塞いで姿を消したデスマスクを見て、ヘレナは「行っちゃった…」とポツリと呟いた。


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