強がりは、キミを孤独に苛む毒




強く生きても、その力では何も解決に望む事は出来ない。

あの戦いの後、追手から逃げる様に吹雪の中を歩いた。突如アイオリアの身に起こった異変――あの戦いは、何かの暗示なのだろうか?とふとリフィアは思う。アイオリアを担いで猛吹雪の中を歩くが、彼はポツリと何かを呟いた。
「我が兄アイオロスだった…」
アイオロス。その名前を聞くと懐かしい響きがするが――山小屋に辿り着いた瞬間、アイオリアは意識を手放して倒れてしまった…運が悪いのか、リフィアに覆い被さりながら。
(ちょっと…いきなりこんな展開は聞いていないわ…!?)
何かもう…色々自分としては恥ずかしいが、もしヒルダとフレアがこれを見たら恥ずかしそうにしているか――リフィアを説教しているだろう。アイオリアを仰向けにさせてみると、高い高熱が出ているのが分かった。それに、顔に浮かび上がる謎の紋様…何故だろう、懐かしい記憶が蘇る気がする。リフィアはそう思いながらも、ベッドに彼を運んだ。
「大丈夫だ…これ位は…」
(でも…貴方は私を神闘士から助けてくれた…。何も出来ないなんて嫌…今度は私が助けてあげる番かもしれない…)
リフィアは椅子から立ち上がり、小屋から出て行った。
「アイオリアは私が助けるわ…待っててアイオリア!」
猛吹雪の雪原を駆け抜けるが、突然疲労と眠気が襲い掛かって来た。駄目だ、此処で倒れたらアイオリアが死んでしまう。でも、眠気が急に襲いかかってきて――リフィアは意識を散らしたが――フードを被った謎の人物が、横で見ているのを感じた気がした…。

藁に横たわっている気がする。リフィアが目を覚ますと、まだ幼い少年が此方を見ていた。
「はっ…!?ここは…!?」
「家の小屋だよ」と少年はそう言い、リフィアは状況が混乱していた。私はアイオリアを助ける為に雪原を駆け出したのに…?そうだ、アイオリアが…!
「誰…?」
少年は困惑していたが、リフィアは辺りを見渡した。

「どなたかお連れの方が居るのですか?」

そう言い、現れたのは静かな雰囲気を感じる青年だった。リフィアはこの青年を見て何か途轍もない雰囲気を感じていた。「とても大切な人です」とそう言い、青年は微笑んだ。

――青年はムウと言った。彼は倒れている自分をこの集落に運んだと言っていた。なんだろう、やっぱりこの青年は唯者じゃない。リフィアはこの時思ったが、窓の外側に誰かの気配を感じた。
(あれは兵士…まだ生き残りが居るのか探しに来たのか…)
ムウはそう思い、まるで『魔女の鉄槌』に書かれている魔女狩りだなと思った。この幼い少年の両親は、ファフナーと言う神闘士に連れ去られたと言う。
「ファフナーは危険よ…人体実験等をするのよ!…私が行きます」
「ちょっと待ちなさい」
リフィアが単独で行こうとしたその時、ムウに止められた。リフィアの困っている人を放っておけはいけない主義に内心はやれやれと思ったものの、まるでアイオリアを見ているようですね。と思った。少年が布に包まれていたパンドラボックスを出し、そのファフナーと言う神闘士退治にでも行こうかと思った。
「行きなさい、リフィア」
でも…とリフィアは戸惑っているような表情をした。
「眠れる獅子…いや、朝寝坊の獅子が待っていますよ」
勿論、皮肉をたっぷり込めて。


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