あなたの選んだこの時を | ナノ

Veronicaの蛇

ルークとフレイドが次に向かったのは、評議会本部であった。フレイドが「此処ならレボルトとソキウスの手掛かりを何か見つけられるかもしれない」と言い、評議会本部へ向かった。
(評議会――カーバリオとラケルトがレボルトとソキウスを支持していたが、彼等が居なくなった後はどうなったんだ…?)
考えている暇は無い。とルークは考えるも、フレイドは評議会のホールに辿り着いた。其処で始まりの魔神の石像を、フレイドは見ていた。
「…始まりの魔神、私が仕えるべき存在」
フレイドはポツリと呟くと、ルークはフレイドを見た。仕えるべき存在が変わった事で、フレイドの心情はどうなっているのだろう…だが、考えている暇は無い。
(グレゴリーとヴィクトールを転送出来るのは――ソキウスしか考えられない)
ルークはそう思い、ふと、溜息をつくと――。

『―――クスクス、クスクス、可哀相』

「……!!?」
ルークがエゴを発動させ、武器を構えると――何処からもなく、声が聞こえた。
『迷える子羊と一緒に居るなんて、貴方、可哀相』
『なのに、貴方――始まりの魔神に仕えるべき存在である彼が、子羊と一緒に居るなんて可哀相ね、ああ、可哀相。可哀相な子羊と天使の事』
『いいね、その笑顔――私の糧になるわ。良いわ、この子達が相手にしてあげる』
ルークとフレイドが武器を構えると――ピシリ、ピシリと罅割れていく音がする。漆黒の空間が広がり、其処にあったのは――。
「なっ…!?ドラゴンボーン!?」
「違う…イドだ!騙されるな!」
フレイドがレイピアを具現化すると、ドラゴンボーンの姿をしたイドが――彼等に襲い掛かってきた。レイピアでコアを踏み込み突きして消滅するも、数が多すぎる。ルークも剣で一振りして薙ぎ払えば、イドは4体消滅した。全く数が多い!とルークはそう言い、剣でもう一振り薙ぎ払った。イドは数体消滅し、フレイドもイドを2体消滅させる。
だが、此の儘ではキリが無い!何れは多数で決められてしまう――そう思っていた矢先、一振りの風がイドをなぎ払った。
「………!!?」
ルークは構えるのを止めると、イドが次々と消滅していく。振り返ってみれば、其処には――。

「――グラディス」
フレイドはレイピアを消滅させれば、ダークソードフィッシュのエクェスであったグラディスに近づく。
「貴方も、エゴに覚醒したのか」
「これは一体何の騒ぎだ?説明して貰う――フレイド殿、それに喋れるなんて――」
フレイドはイドの残骸を見て、「ああ」と頷き、冷たい瞳でグラディスを見ていた。刀を具現化させているグラディスを見て、フレイドはまだ、話の続きが終わっていなさそうだと言い、ルークに説明を求めた。
「君がグラディスか…私の名前はルーク。シャークボーンの適合者であった人物だ」
「お主がシャークボーンの適合者であるか、再び名乗り申す。拙者はグラディスと言う」
グラディスはお辞儀をし、フレイドはルークを見た。
「貴方に問おう。竜神翔悟――ドラゴンボーンの記憶を持っているか」
グラディスは驚いた表情をし、直ぐに表情を冷静に取り戻した。
「ドラゴンボーン…その名は知っている。だが、何故始まりの魔神の代わりにその少年が理と化したのは納得出来ん」
やはりグラディスも知っていたか…とルークは悩んだ表情になった。ベントーザも何か知っていそうな様子だったし…何か繋がっているのか…?とルークは考える。すろとグラディスは語る。
「拙者で良ければ」
「駄目だ、君は此処に居て欲しい。身の安全の為だ。他の住民達を巻き込む訳にはいかない」
「……!ルーク!待って!」
立ち去るルークに、フレイドとグラディスは唯呆然とその姿を見る事しか出来なかった。


オルオルオルオルオル。
ランランランランランランランラン。

フレイドが目を覚ませば、其処は夢の中だった。小さな鳥籠の中、誰かが蹲って眠っているように見える。フレイドは観測者でありながら傍観者である立場を崩す事は出来ない。何故なら始まりの魔神に作られた存在だから。
(ああ、そうか――これは、私の夢の中。始まりの魔神に代わり、この少年が理と化した。其処に何の理由が?」

オルオルオルオルオルオル。
ランランランランランランランラン。

「だが、魔剣士ヒュディアスは――立ち塞がる3人の異形の魔道師に立ち向かうのです。魂を屠る魔女ウェリアナル、狂気に魅入られた道化師ヴェリアオン、快楽を求めて貪る王ドーラーグ」

(この声は…?)

少年の横に居るのは、金髪が美しい美貌の男。アメジストの瞳は尚且つ美しい事であろう。だが、フレイドには見覚えがあった。

「さて――この夢の続きを如何見る?観測者よ」

「―――――――――!!」
フレイドがベッドから飛び起きれば、自分の別荘だった。どうして、レボルトが理の所に居るんだ…?まさか、ソキウスまでもが――?いいや、そんな筈は無い。どうせなら、夢だと分かれば良い。そう言い聞かせるも、フレイドはやはり不安だった。

「まさか――そんな筈は無い。これをルークが知ってしまったら――」