D.P.
メルボルン研究所――だった場所に辿り着いた。グレゴリーとヴィクトールが研究所を爆発し、データを盗んだ記憶が全く新しいと思える気であろう。フレイドの空間の力で辿り着いた時には、先客二人が居たようである。ルークは水色の銀色の髪を靡かせながら、その先客二人に近づいた。
「君達か」
「…ん?シャークボーンの適合者が何の用件だよ?」
「…………」
ターバンをしている男グレゴリー、眼帯をした弟のヴィクトールだった。ルークは警戒を続けていた。東尾所長に借りを返したとは言え、前にレアメタルボーンで一時叩きのめしたとは言え…今はボーンが存在しない。手を出されたらどっちが勝つかは分からない。
「蝙蝠の旦那も一緒じゃねえか」とグレゴリーは言う。フレイドは前に彼等を地球に転送したとは言えども、訳が分からない連中だと思い、警戒をし続けていた。
「君達に用件がある――竜神翔悟を知っているか?知らなかったら、此処から立ち去って貰おうか」
「…………………」
「……へぇ、それで俺に話をしたのか?」
「知っているのか!?」
グレゴリーは「知っているも何も、ドラゴンボーンのガキを知らない筈が無いだろ」と言っている。ヴィクトールは以前、睨んだままである。ルークとフレイドに借りが有るとは言えども、やはり訳の分からない連中だ。とルークは諭す。何れ無言のままだ――静かであるが、いつ攻撃してもおかしくは無い。すると、フレイドは口を開いた。
「そろそろいい加減にして欲しい」
「…………!?」
「…は?」
「私も、これまで傍観者の立場を崩してはいなかったが――貴方達やルーク、ペルブランド様と出会ってからは傍観者どころの立場ではなくなった。いい加減にして欲しい――大きな事態とは言え、同じ地球人同士が睨み合うのはやめよう」
フレイドがいきなり喋りだし、ルークとグレゴリー、ヴィクトールは驚いていた。
「――フレイドの言うとおりだ。私達と君達が睨み合っている場合じゃない…今、宇宙は――」
「―――イド、だろ?」
「何でその事を知っている!?大体――」
するとグレゴリーとヴィクトールは、ある事を話す。
「こっちも、ある人物から頼まれてな」
すると、二人は既に姿を消していた。
「……おい、待て!一体如何言う事だ!それにその空間能力は……!」
空間能力を持っているエクェスなど早々居る筈が無い。精々出来るのは、フレイドだけだ。ルークは急激に事態を重く見て…フレイドを見た。
「フレイド、説明をしてもらおうか」
フレイドは目を背けている。だが、ルークは説明をして欲しい。と思うのは衝動があるまま故に。
「私は翔悟も助けたいし、この世界を救いたい。だから――今、何が起こっているのかを、説明して欲しい。頼む――お願いだ、フレイド」
フレイドに抱きついたルークは、涙ぐみながら説明を求めた。するとフレイドは、口を開いた。
「分かった――説明する」
「この世界の理が、変化しつつある」
フレイドはそう言い、溜息をついた。
「私は、始まりの魔神の命を受けて――この世界に降り立ったが、理の誓約を受けており――本来の力が発揮出来ていない」
「本来の力が発揮出来ない」
「声と――力が奪われた故に、私は本来の力を発揮出来ない。空間属性のボーンに適合した故に、空間の力を発揮出来たが不幸中の幸いだったが、神である私でも力を奪われたのならネポス人や地球人と同じ大差でしかない。だが、急に声が出たのだ」
「―――と言う事は、喋る事が出来たのは、理が変化しつつあるのか?」
「ああ、そうだ。貴方がシャークボーンの適合者であるが故に、地球の可能性を示した水の魔神に認められた英雄――蒼の英雄と言っても、過言ではないだろう」
「讃えるのは結構だ。だが、私は翔悟を――助けたい」
フレイドは、翔悟を助けようとするルークを見て、感心にも似た思いをした。全く、貴方はと言わんばかりに、ルークを抱きしめる。フレイドはもし、ペルブランド様が誰かを助けるのなら、私も彼女を助けたい。と思う――。
「全く、仕方が無い人だ」
「…手伝ってくれるのか!?」
「ああ、手伝うとも。貴方が、理を変える事になるのなら――私も、手伝ってあげる」
ルークは「有難う」と言い、握手をした。