悪魔は笑わない

「グーラーディースッ」
七つの大罪が作りし人工生命体対天使用兵器――通称『サタネルの王』。53番目の『サタネルの王』グラディスは、聞き覚えのある声に困惑していた。後ろから乗っかられ、軍服の少女は頬っぺたですりすりと後ろを摩っている。七つの大罪の悪魔であり、最悪の悪魔と言われるレボルトの部下である自分が何故こんな目に遭わなきゃいけないのか全く分からない。
「れ、レボルト様…何卒ご用件で!?」
「用件は…そうだな、お前の顔が見たかっただけだ」
「ですが、貴方はお忙しい身であって…」
「大丈夫だよ、仕事ならソキウスに身を任せてる」
酷過ぎやしませんかそれ!?とグラディスは思うも、レボルトは軍服を纏ったままニヤリと笑う。
「…あの、聞きました」
グラディスは不安になりながら、レボルトに問いかける。
「貴方様と…ソキウス様が地上で天使と人間を虐殺をしている事を。何れは罰されるのでは…?」

『良いか、若造が。天使とは和平を貫く道を行く――昔のように虐殺を繰り返されるわけにはいかないのだ』

「……グラディス、俺が悪かった」
レボルトはそう言い、はぁと溜息をつく。すると、グラディスは良からぬ事を言う。
(…何れは、レボルト様も、ソキウス様も罰される…悪魔であっても、其れでも――貴方が道を行く限り)
そう思うも、声はレボルトには届かなかった。これは、金色の王と銀色の淫婦が織り成す大惨事だから、声が届かなくても――声は届く筈が無いのだ。決して、彼等を天使が罰しても――誰かが、救わない限り、そう信じる事しか出来ないのだから。そう、彼等を止める事すら出来やしないのだから。

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