亡国の魔王を呼び出す狂気の書物『グリモワール』より32章25節より『慟哭の悲劇』

「また人殺しか」
ソキウスはそう言い、溜息をついた。自分は『色欲』を司る悪魔。レボルトは『傲慢』を司る悪魔。やれ盟友で在れども、悪友で在れども、レボルトの地上への振る舞いはどうも勝手とは違うレベルではない。虐殺を繰り返すレベルなのだ。悪魔は老若男女に姿を変えるけれども、レボルトはどうも『人を油断させて面白がって殺すからこの姿をしている』と言う理由で少女の姿をしている。全く、実に面白そうな友であろう。ソキウスは苦笑し、レボルトはそんなソキウスの姿を見た。
「じゃあ――俺を抱け」
「全くお前は」とソキウスは再び溜息をつく。性欲盛んな彼は、地上から帰還した後に彼に抱かれる事を望んでいる。服を脱ぎ、ソキウスに「おいで」と誘うように話しかける。

「―――満足し終わったか」
ソキウスはそう言い、ベッドに横たわっているレボルトを見る。金髪の三つ編みを解かせ、満足そうに満たされた顔をしたレボルトはクックッと笑う。
「じゃあ、もう一度付き合え」
「駄目だ。お前ともう一度付き合うと体が持たん」
「なら、抱きしめろ」
「そうか」
銀髪と金髪が絡み合い、抱きしめられ、舌が絡み合う音がする。水音が響き、ねちゅ、くちゅと響く。全く、この性欲盛んで快楽主義者であるお前は…。と銀髪の悪魔がそう思うも、金髪の悪魔が満足し終わるまではこの欲望は終わるはずが無い。快楽を貪る彼女は、まるで悪魔のように、悪魔であったか、人であったか――。

さて、俺は快楽主義者でな。

快楽主義者である故に、女を抱く事は美しい。

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