至純の残酷
ダークケルベロスのエクェスであるレボルトが、惑星のコアであるボーン回収を終えたのだ。
その報告は、直ぐに評議会に知れ渡った。クルードとシュトルツは戦慄に似た感情になった。あの暴虐の限りを尽くす地獄の番犬のボーンの適合者がネポスに帰還すれば…一体どうなるのだ?と不安になった。
その不安は、見事に的中する事になる――。

「クルード様が幽閉!?」
ペルブランドとバーリッシュは、使いの者の報告を聞き、大層驚いた…いや、ショックを受けた。ワイバーンボーンは剥奪、評議会の座を降ろされ、部下であるバイズとドロッサスは解雇されてレボルトの一派に入った。
「まさか…そんな事が…」
「ペルブランド、お前の部下は…フレイドは如何したんだ!?」
「彼も、レボルトの一派に入ったようだ。だが、彼はレボルトに従っているわけではない」
「本当か…?」とバーリッシュはそう言い、不安の表情だったが、ペルブランドには策があったのだ。最初からクルードの元に預けて正解だった――レボルトはフレイドが私の部下である事を気付いていないのだから。
クルードが幽閉され事実にまるで追い討ちをかけるように、シュトルツが行方不明になった。まるで誰かが悪意を動かしているような感覚…。ペルブランドは、レボルトが臨時評議会議長に就任した辺り胡散臭い香りがしたのだ。彼女の嫌な予感は、的中する事になる。
「―――やはり納得が出来ん」
彼女はそう言い、フレイドにある命令をした。

盟友シュトルツの娘リーベルトがドラゴンボーンの適合者達と共に此処にやって来た。クルードは驚いた。命が無いと思え――レボルトは一体何を考えているのか分からない…反逆者である彼女を如何甚振るか、分からないのだぞ。
クルードはそう思い、一人自室で大人しくしている最中――独特の空間転移の音がした。目を疑った――ペルブランドの部下であるフレイドが、ワイバーンのカードを持って此処に現れたのだ。
「お前は…まさかペルブランドが!?」
コクリと頷いたフレイドは、アメジストの瞳を瞬きしながら自分にボーンカードを渡した。この事が評議会に知れれば、彼も唯では済まない。フレイドはクルードに語る。
『早く――彼女の元へ。彼女や、ドラゴンボーンの適合者がレボルトの元に集まっている。恐らくレボルトは、彼のボーンカードを奪おうとしている。早く行かなければ、全てが手遅れになる』
クルードは、心を鬼にして――ボーンカードを受け取り、フレイドの空間転移でシュトルツの屋敷に向かった。

(クルード様…!?)
初めてダークケルベロスのレボルトと対峙している最中、いきなりクルードがリベレーションコクーンの中から現れた。ボーンカードは奪われた筈…一体誰がこんな事を…?
「貴様…ワイバーン」
レボルトはそう言い、クルードに敵意をむき出しにして語る。リーベルトは不安に思った。もし、クルード、翔悟のどちらかが敗れればこの戦いに勝つ事は出来ない――彼女はそう思い、不安げに語る。
(父上…)
レボルトに破れ、幽閉されたシュトルツ。彼女はそう思い、ダークケルベロスのレボルト、ダークワイバーンのクルードが激しい戦いを繰り広げていた。
彼は語る。シュトルツはダークウロボロスのソキウスが作りし異空間に居る。空間の魔神の力で見つけ出せ。
空間の魔神を降臨させ、シュトルツを救出した。だが、彼女は――クルードの真意が分からないのだ。あんなに翔悟のやり方に疑問を抱いている彼が――翔悟を助ける事をするなんて。
彼女は、この目で見届けたのだ。火の魔神を呼び出し、一体化して――神に近い存在になった彼を。英雄と呼ばれた彼が、暴虐の限りを尽くした魔獣と対峙して――全てが閃光に包まれた。だが、彼の勇姿を見たのは、これで最後になるのだと分かった。何故だか分からない――でも、何故か悟りきったような気がしたのだ。
*前表紙次#
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