アリアは歌う

足に刺さっている矢は俺が自力で抜いた。とレボルトは言っていた。傷が癒えた頃に、金髪の男は時々小屋を出る。書き出しに『俺は近くの戦場跡地に行って来る。まあ兵士の死体漁りで金目の物を奪ってくる仕事だからな。お前は近くの村に買出しに行っていろ』と紙に書かれていた。

(………此処の村の品は良い。肉に林檎、薬品が揃っている)
聖域の森外れに、丘の村がある。その村は帝国領の一つであり、穏やかな風が吹いている。しかし、敵国である帝国領であるのならば一応警戒しなければいけない。

「何やってるんだ、お兄さん?」

「………?」
木の上に誰かが立っている。褐色の肌が目立つ青年は、木の上でじっと自分を見つめている。一体何様で。と彼はそう思うが、青年は暫くの間自分を見つめている。
「オイラはこの村の警備隊をやってるアントニオって言うんだ。お兄さん、アンタのお名前は?」
「………………………」
自分は喋る事も名前も名乗る事が出来ない。と言えない。アントニオと呼ばれた青年は、ジーっとこちらを見つめていた。フレイドは喋る事すら出来ない状況にどう対応しようと考えている最中――。
「ま、魔物が出たぞー!」
「この村を襲って来る!皆早く避難するんだ!」
逃げ惑う人々がこちらにやって来て、現れたのはホブゴブリンやインプ。この状況で村を襲って来るとは…のどかな村が戦場になる瞬間を垣間見た。
「お兄さんは避難していてくれ!オイラはあの魔物を退治して来るよ!」
アントニオはそう言い、魔物が出現している方面に向かって走って行った。

「…………」
村人は全て避難した。だが、自分は如何すれば良い?魔術を使ってアントニオに加勢するしかない。だが、村人はどうする?自分がアントニオを手伝ったら村人達の方が無防備になる。だがホブゴブリンやインプが大量に出現している。アントニオ達警備隊の身が持たない。だったら、いっその事――。

「あーもう!敵が多すぎてやってられないじゃん!」
アントニオはそう言い、バグナウでホブゴブリンやインプを退治している。しかし、敵が多すぎて警備隊では対処しきれない。このままだと村人にも被害が及ぼしてしまう。
「その前に、さっさと―――?」
炎の弾が敵を包む。現れたのは――さっき、遭遇した男性だった。加勢してくれるのか?ラッキー!とアントニオはそう思い、彼と力を合わせて魔物を退治した。

「ありがとさん、助かったよ」
アントニオはそう言い、怪我人の手当てをしている宿屋でそう言った。怪我人は意外と圧倒的に少なかった。これも助けてくれた青年のお陰だと彼は思う。すると彼は、羊皮紙とペンを使い――自己紹介をする。

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