訪れた真実

「大丈夫だったか?」
酒場でルークと鉢合わせをし、ジンジャーエール酒を飲み合って会話をしていた。些細な事でも良いが、一体彼は何の用件で此処に居るのだろうとフレイドが疑問に思っていると――。
「貴方のお母さんが、ご迷惑をかけてしまった」
「……?」
お母さん?とフレイドが首を傾げると、ルークは話をした。

帝国の優れた魔術師の一人である彼女は、敵国である王国の騎士と恋に落ちた。だが、帝国で敵である王国の血を引く赤子が生まれた事は、死罪に当たる。帝国を追われた彼女が行き着いた先は、帝国領でも王国領でもないのどかな村。其処で彼女は、赤子を育てていたが――忌むべき魔力を恐れ、子供を売り飛ばして自殺を図った。

「…そのブローチと、指輪は…貴方のお母さんが持っていたものでね、アメジストのブローチは…帝国の優秀な魔術師に与えられる配給品なんだ」
フレイドは納得した。が、ルークは真剣な眼差しで彼を見ていた。
「どうか、過去を…捨てて、未来を精一杯生きて欲しい。これは、帝国の将校である私からの、ささやかな願いだ」
ルークの話を聞き、フレイドはやっと、過去の真実と向き合う事に決めたのだ。

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