空蝉の歌

―――王国城下町の病院にて

「そうか、レボルトが…」
ソキウスはベッドに横たわり、脇腹に包帯を巻かれた状態で入院をしていた。フレイドの報告曰く、『姿を消した』との事。ソキウスも、レボルトに付いて来たら急に用済みだと言われ、剣で刺されたと言う。
「俺は、何て馬鹿だったんだろうな…レボルトの真意に気付かず、ただ彼の意見に悶々と従っていた。レボルトは姿を消したが、俺は生きている…」
悲しそうにに呟き、フレイドはお絞りを持って唯黙っていた。彼は、ペルブランドに報告をする為に病室から出る。
『生きればいい』
「そうか、お前の答えは――とっくに出ているんだな」

『生きていれば、目的は見つかる。私が出した答えだから。でも、辛い事ばかりが起きる。其れでも、必死に生きれば良い。私が出した答えは、この結果しか出せなかったのだから』

「…………レボルト、俺は一体、如何すれば良いのだろうか…」
フレイドが出て行った後、ソキウスはベッドで唯一人、思いに耽る。



「フレイド殿」
城下町を歩いている最中、グラディスが来、フレイドは彼の方を向く。グラディスは、困った表情をしており――フレイドに何か言いたげな表情をしていた。
「此処に、居て良いのだぞ…?」
『此処に居る?此処に居ても、私の居場所は無いのに?』
「……っ!」
最後まで自分の存在を否定し続ける彼。だが、この想いだけは、この想いだけは伝えたい。とグラディスは叫んだ。

「…お主は、拙者の気持ちも分からないと言うのか!?」
「……!?」
「確かにお主の過去は、ペルブランド様から聞かせてもらった。だが、自分の存在を否定するのは、死んでしまえと言う意味と同じだ!拙者は、フレイド殿と……貴方と一緒に居たい!」
其れは精一杯の告白だった。フレイドは、フッ…とグラディスを抱き締める。
『…分からなかったのは、私の方だ。其れが精一杯の告白…有難う、グラディス』
フレイドはグラディスの肩をポン、ポンと叩き、グラディスは顔を真っ赤にさせていた。

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