どこまでも

水の魔物が住むエリアは、近くの海底洞窟であると住民が教えてくれた。私に対して住人は「一人で退治するのって大丈夫なのか」と言うが、騎士団である故に人々を巻き込む訳にもいかないのだ。水の魔物の姿を、住民が教えてくれた。
(まるで翼があり、魚のような姿をしていた…)
そう、その姿である。リヴァイアサンはあの人の契約対象であるから絶対に有り得ないし、ケルピーかクラーケン辺りだろう。そう思っている矢先に、洞窟の中に入った。
カツン、カツンと靴音が響く。水の雨音が響き、岩盤には水晶が発掘されている。私が一人で出歩くと危ないが、魔物なら精々倒す事が出来る。
「………………?」
グルル…と化け物染みた声が響く。私が何の声なのだろうと思うも、奥底から響く――何かの声。

(………間違いない、傷付いた竜だ)
白い竜が、生き絶え絶えになっている。何かの切り傷を負っており致命傷は避けられたものの、命が危ない事には代わりが無い。
(ごめんね、私には癒す力など残っていない)
癒しの力が残されていない。私は癒しの僧侶ではない、魔の道を行く魔術師なのだ。行き絶え絶えの竜に伝わる事すら出来やしない。
(結局、私に出来る事は何も……………?)
竜の後ろに、小さな何かが蠢いていた。私が見てみると、小さな竜が居た。まだ赤子であろう、きゅいきゅいと鳴いている。私が持ち上げ、竜はきゅいきゅいと鳴くばかりである。

(…おかしい、水の魔物の正体がドラゴンなのであるのならば――何故、ドラゴンは致命傷を負っている?)
そう、港町の住人の情報によると水の魔物が被害を及ぼしているのは食料らしい。なら、この子ドラゴンの食料なのだろうと推測がされる。じゃあ、ドラゴンに致命傷を負わせたのは誰だ?
(この事を、ペルブランド様に報告しなければ――)
ふと、何者かに脇腹を剣で刺されていた。何者かの姿を見てみれば、その姿は金髪であり、アメジストの瞳をしていた男でもあった――。

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