魔術師と剣士

「……此処に居るのが、辛い…?」
グラディスはそう呟き、フレイドの方を見た。フレイドは俯いた表情のままだ。だが、彼は声が出せない筈だ――契約で声を失った為か、何を考えているのかが分からない。だが、彼は確かに辛い。と言っている。しかし、グラディスにはフレイドの気持ちが分からないのだ。
「良ければ…拙者が、お主を信じても…良いか…?」
「………?」
グラディスは、フレイドの手を握る。
「その…あの日、言えなかった事だった…お主に、髪飾りを渡した時位から…拙者は心配をしていた…だが、お主はその後から拙者を何時も避けていた…。もしかして、辛いのか…?」
フレイドは違うと言わんばかりに首を横に振る。グラディスは「なら、どうして…」と語る。するとフレイドは、ぎこちなくグラディスの掌に指で文字を書く。

『貴方の傍にずっと、居たかったのです。でも、私は貴方に嫌われると思って、避けていたのです』

「…フレイド殿………」
グラディスはそう言い、フレイドは逃げるようにバルコニーから出た。グラディスは「待ってくれ!」と言ったが――彼にとっては、恥ずかしい事だったのだろう。だが、フレイドはとても辛い表情だった。

自分の部屋のベッドに再び潜った彼は、何も言えず、寝れず、眠れずに一夜を明かした。

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