再会の夜

騎士団本部に帰還した後、彼は「俺は一旦此処で分かれる。お前は大好きな主の下に行け――会いたいのだろう?」と私に吐き捨てた。主が誰だか分かっているのなら、私は彼女の部屋へ急ぐ。
ペルブランドの部屋に入ったフレイドは、ドアを開けて彼女を見据えた。
「…フレイド、なのか?」
コクリ。と頷くと、ペルブランドは早々、私を抱きしめる。
「大丈夫だったか…?怪我はしていなかったか…?お前に万が一の事があるとしたのなら、私はとても耐えられなかった…」
彼女に二人の盗賊に首を掻っ切られた事を話しておくべきか。と思うつもりだったが、ペルブランドに心配をかけたくないので話すのをやめた。
(でも………、会いたかった………)
会いたかった。彼女に会えたのはとても嬉しい。部下であっても、血は繋がっていなくても、私は貴方が愛おしいのだ。だから、私は貴方を信じているのだ。

久しぶりに自分の部屋に行く。必要なものを最小限に抑えているから、然程散らかってはいない。本棚には魔術書や生物学、魔術学に関する本が取り揃えている。クローゼットには着替えや武器が収納してあり、ベッドも綺麗に整えている。ベッドに身を投げた私は、母親の遺品である指輪とブローチを袋から出した。
(お母さん……)
自分は虐待され、母親が息を引き取って山中に放り出されて死んだと聞いた時は――自分の母親だから、せめて私に何か一言でも言えば良いのに。ととても思う。だが、私はあの人が母親代わりなのだ。とは言え、産みの母親なのは変わりは無い。私はローブを脱ぎ、肩を鳴らす。
(久しぶりに彼の顔でも見に行くか…)
そう思い、私服に着替えて自分の部屋から飛び出した。

「…グラディス?ああ、第7騎士団の人か?あの人なら、バルコニーに居るよ?」
同僚の話を聞き、フレイドはバルコニーに向かった。バルコニーは月が明るく照らされており、其処に居るのはちょっと頼りない騎士であり、自分にとっては大事な人であるグラディスの姿があった。グラディスは月を見て、ふふっと笑っているように見える。
「今日は月が綺麗だな……ってフレイド殿!?」
後ろから急に現れたフレイドに吃驚仰天したグラディスは、仰け反った。が、フレイドの姿を見て安堵感を覚えたグラディスは、「脅かさないでくれないか…?」と言った。フレイドはバルコニーの月を見て、無言のまま――俯いた表情をする。

「……その、フレイド殿……何があったのですか……?」

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