代償は夢の中

クルードが子供を連れて来た。奴隷市場の人達を虐殺した魔物と契約した青緑の長髪をした子供。バーリッシュは断固反対したのだが、ペルブランドは彼の言う事を耳に聞かず――引き取った。

「…………………」
フレイドと言ったか。と彼女は思う。名前を付けられているが、子供を奴隷市場に売り飛ばした母親は何を考えているのやら。と思う。せめて、彼の心を開かせるには如何すれば良いのかクルード様から教えて欲しかったと思う。自分の部屋で9歳の子供は、怯えた瞳をしていた。
リヴァイアサンと契約した身であろう、自分の能力は水を操れる事と――心を読む事が出来る。だが、子供は同じ契約者でありながら紫水晶の瞳を見開かせ、怯えてこちらから遠ざけている。一体どうすれば良いのやら。と思うが、だがしかし――フレイドは歯をガチガチと震わせ、部屋の片隅で怯え続けている。
彼女は迷わず、手を出した。

「大丈夫か」

だいじょうぶか。とフレイドは確かに彼女がそう言ったのだと聞こえた。母親から魔力を持った化け物だと言われ、捨てられて愛情の仕方が分からない悲惨な心を持ってして育って来た。だけど、彼女は私を恐れない、何も言わない。逃げ出さない。この人は私を愛してくれる。

森を抜け出し、王都に帰還している最中――レボルトはフレイドに話しかける。
「なぁ、お前はペルブランドの部下だったのだろう」
どうしてそれを知っているの?とフレイドはレボルトを見つめ返した。
「何せ、お前の魔術詠唱の仕草はペルブランドの魔術詠唱の仕草と良く似ている。8代勇士と同じ身でありながら知っているさ、誰にも」
「…………」
喋る事が出来ないから、レボルトの言葉を聞き流すしかない。だが、彼の目は鋭い。本当に鋭く、獰猛な目だ――。

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