ホロウ・ウィンティ


遠い戦争に駆り出された時に、自分と似た子供を見かけた。戦災孤児…だったか、「お恵みを」と言っていた。私は何も言えなくて、銀貨数枚とパンをひとかけらしか出すことができなかった。
戦争でいっぱいの人が死んだ。兵士も死んだ。王国軍は勝利を収めたものの、死者が出る事には変わりは無かった。騎士団の中には変わった人も居るけど、私は唯一――魔物と契約した身。空間を作る能力を併せ持った『化け物』。

遠い記憶の中、お母さんが赤子の私にこう言ったのだ。
『馬鹿なお母さんでごめんなさい』――と。



月日は流れる。現在の聖域の森は、穏やかであるが、魔物や妖精が住む悪意の森と言われている。
「………………?」
フレイドは首を傾げ、二人の山賊を見た。この山賊は、ターバンをした男と眼帯をした男の二人組だ。戦闘態勢を構えるも、ターバンの男は語る。
「まあ待て、俺達はお前と戦いに来た訳じゃない」
「…っ」
再び警戒に走る。ふざけるな。と言いたい気分である。瀕死の致命傷に負わせたのは誰だったのか?お前達だろう。と辛い事を口走る――この口さえあれば。
フレイドは、構えを解除する。二人の男はニヤリと不敵な笑みをしているばかりだった。

「俺がグレゴリー、こっちの無口で不気味な奴が弟のヴィクトール」
グレゴリーと言ったターバンの青年は、フレイドに自己紹介をする。クロスボウを持った男は、ニヒルな顔立ちをしている。何だか気に入らない。と思うも、強奪しに来た訳じゃないから大丈夫だろう。と思う。
「…で、話なんだがな」
グレゴリーはそう言うと、袋を取り出した。

「とある山脈に行ったら、人の死体があってな――その死体から豪華な宝を奪ったって訳」

「………!」
フレイドはペルブランドから聞いているように、母親が山脈で死体となって見つかったと言う情報を聞いた。遺品で残っている指輪…これしか手掛かりは無い。二人の男は、こう語る。
「それが欲しいんだろ?」
フレイドがキッ!と二人を恨むも、ヴィクトールは彼が何かをしないように腹に渾身の一撃を与える。腹から胃液が逆流する思いであり、グレゴリーは袋を投げる。

「精々、足掻いてみな」

立ち上がろうとするも、彼等は既に森に身を潜めていた――。

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