「…思い、出した…」
そうだ、あの時。ジムを…幼い彼女を巻き込んで覇王の力を発動したんだ。罪の罪悪感に飲まれた十代は、涙を飲む事しか出来なかった。
「そうだ。君は罪を思い出したんだ。これが君が彼女への『罪』と言えるべき存在…」

絆を壊したくなかった。
絆を大事にしたかった。
けれど、真実を知ってしまったんだ。

「…十代?」
後ろにはジムが居た。彼女はハラルドと麗華の話を全て聞いてしまったらしい。十代は、彼女を抱きしめていた。
「…ごめんな、ジム」
涙が頬を伝う。罪の罪悪感は、消えない。どうか口で罵って罰を自分に受けて欲しい。どうか、その手で頬を叩いて欲しい。どうか、この手で自分を殺して――。

しかし、彼女は何もしなかった。
十代をそっと抱きしめた。十代の涙が止まった。

俺達、マイ・フレンドだろう。

ジムの言葉が響いた。ジムも、その記憶をずっと心の中で置き去りにしたらしい。けれど、友を憎む事なんて出来ない。と十代にそう言った。

「――今度は、俺が君を助ける番だ」

そうだろう、十代。

Title:告別
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