「十代、君に話がある」
ハラルドから呼び出しをされたのは、翌日の事だった。

「一体何の用件だ?」
十代がとある一室に行くと、薄暗い部屋の中に深いプールがある。そこで待っていたのは麗華とハラルド、Vの三人。何故亮が居ないのだろう…。
「…亮は?」
「外出中だ。君に話があるのは、『罪』の話だ」
「罪…?」

「――――6年前の君の罪。暴かせて貰おうと思ってな」

「…何を言っているんだ。大体俺は、罪を持つ訳が…」
「いいや、君には大きな罪がある。いいや、ジムとは初対面ではない…『2度目の初対面』なんだ」
「………!」
ハラルドの言葉に十代は反論も出来なかった。どうして…とは言いたくないけど、麗華は電脳精霊を呼び出す。
「麗華」
「了解です」
彼女は魔法陣を展開し、こう口にする。

「――我が手の中に蘇れ、記憶の欠片。連弾の魔術師に於いて『遊城十代』を、罪の根源の泉に沈め」

魔術師が現れ…十代を、プールの中に突き落とした。

「…行ってしまいましたが、どうしましょう…ハラルド」
「ああ、大丈夫だ。彼はきっと這い上がって来る。その時は、『罪』に苦しむ事になるが…君は、大丈夫だと思っているのか?」
「まさか…6年前のあの事件。『ヘグニ』である私でも知っています。十代は表向きのデータからは一般人ですが…精霊王達に歯向かった、最悪最強の『覇王』と、精霊達に名前と記憶を刻まれています」

溺れる合間に、ハラルドと麗華の会話を聞いていた。その会話は、十代の記憶に触れてはならない罅割れた記憶でもあった――。

――十代が、まだ『十代』ではなかった記憶。
――それは、電脳世界のある事件の片隅で起こった『罪』の、始まりだった。

Title:空想アリア
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