――其れは、素良が精霊宮『ホウライ』に向かう途中の話。

素良はジムの考えに疑問を持っていた。彼女が自らを犠牲にして璃緒を救う事に…疑問を感じている。其処までして彼女を救って…自分を自己犠牲にしてまで璃緒を救うのなら、彼女を悲しませてしまう。だから、精霊王の誰かにジムの事を一度考えて欲しいと伝えなければ、彼女は破滅の道を辿るだろう。
「あー、しかし師匠ったらさー。こんな時に不在なんだよね」
デストーイ・キラー・ベアーに乗りながら素良はムスッとした表情でそう言った。このサーバーエリア『アキレウス』を通れば、ホウライに辿り着く。素良が駆け抜けようとした瞬間――いきなり水撃攻撃が彼を襲った!
キラー・ベアーが水撃を振り払う中、素良が空を見上げた。

「そんなに急いで何処に行くのかしら?」

「ああ、『ヴィヴィアン』ね」
「私の名前を知っていて光栄です事」
「海野幸子。名前くらい知っているよ」
青い髪をリボンで軽く装備している姿はかなり可愛い。でも彼女は『ヴィヴィアン』の名を持っている。

『ヴィヴィアン』は、円卓の騎士達とは違う…『悪を払う』聖なる剣『カリヌルブス』を持つ者の異名。彼女は聖なる王『アーサー』の隣に居る。しかし、アーサーが動いている今、ヴィヴィアンは…行方知らずとなったのだ。
「零児と幼い頃から居て、ヴィヴィアンの名前を継いだ私の攻撃を避けるなんていい度胸じゃないのかしら?『トト』?」
「うん、僕は今とっても忙しいんだ!だから後でね!」
「そうはいかないわよ!貴方が動くと大変な事になるって『ケイ』から告げられているのよ?此処で足止めを喰らいなさい!超古深海王シーラカンス!」

ゴゴゴゴゴゴ!と音がし、空間が割れ…海があふれ出した。其処から現れたのはシーラカンスを模した電脳精霊。成る程、アーサー伝説に伝わる妖精ヴィヴィアンの名の通り、水属性の電脳精霊の使い手――素良は「腕試しになるなら、やるしかないなぁ」と言い、キラー・ベアーに攻撃命令を出した。
戦いが始まる最中――一筋の剣の一閃が二人の間を割った。

「…なんだ、霧の王-キング・ミスト-かぁ」
「…っ!?アモン!?」

幸子がその名を呼ぶと、ビルから降り立ったのは――アモン・ガラムだった。

title:空想アリア
BACK
×
「#切ない」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -