「――ドン・サウザンドの言う真実の祭壇は、何処にあるの?」
龍可はそう言い、静かに呟く。
オブライエンと十代、其れに素良が合流した数日後。ブリーフィングルームで会議をしていた。
「真実の祭壇って?」
「ドン・サウザンドが言っている真実の祭壇――其れは何処にあるんだ?」
「訳が分からないよ…まるで意味が分からんぞ」
「そりゃあ刃…お前の様な脳筋に分かる訳が無かろう」
「んだと北斗七星!」
「黙りなさい二人とも」
「は、はいぃ!」
会議室が賑やかになっている最中、素良は気になるサーバーエリアを見つけた。
「――コロッセオ」
「…コロッセオ?」とヨハン。オブライエンはまさかと言わんばかりな顔で説明を行った。
「精霊王ナッシュが、統治していたエリアだ」
「統治していたエリアって…?」
刃が説明を行った。
コロッセオは、闘技場と言う意味であって――昔、ナッシュが電脳精霊で競い合う者達の為に作り上げたサーバーエリア。勝利した者にはナッシュへの挑戦権が与えられるが、そのナッシュが居るエリアが『真実の祭壇』。
真実の祭壇を登り上げた者が、電脳精霊を支配するものとなると言う古い言い伝えがあるんだけどな。
「――其れに、巫女って何なんだよ」
ヨハンはそう言い、悩んだ顔をしているが…其れは直ぐに真澄の発言によって解決した。
「――メラグと、メラグの肉体」
「………!」
ジムが無言で机から立ち上がり、昨日の恵の会話が思い出される。彼女が巫女なのならば、邪神復活はやはりドン・サウザンド…では、其れを指揮する者は誰なのだ?
「聖歌の喜歌劇しか、思いつかないな」
十代はそう呟き、数日前の鬼柳京介と言う男が…オセロと名乗って電脳精霊のデータを破壊しに来たのだから。シェイクスピアとは、一体何なのだろうか。
「…ジム、そんなに自分を思いつめるな」
暗い顔をした彼女にオブライエンは言う。自分を思いつめるな…そう彼が言っている。自分を思いつめたら、駄目なのだ。
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