――赤馬から、手紙を渡された。

『ジムへ。
これを読んでいる頃は私は今頃死んでいるかもしれません。だけど、これは謝らなければならない事実なの。
貴方を騙していた。貴方に誤らなければならなかった。でも、其れは出来なかった。
私は円卓の騎士達に保護されているから、書かなければならない事実だった。私は、穢れた空気を吸う事が出来ない。綺麗な肉体である事だから。
私の記憶は、メラグの記憶であるのだから。メラグと記憶を融合したら、私としての個体は消える。私が消える。
だけど、私が私で無ければならない事実だとしたら――何が何やら分からないかもしれない。だけど、私は…『私』でありたい。
ジムの過去は、零児さんの話から聞きました。貴方の姉は、事故で亡くなったのだと。事故で記憶を失って、其れでも私を必死で救う。
でも――こんな事は許されないのは分かっている。だけど、彼女には平穏でいて欲しいの。ごめんなさい、私は…馬鹿な少女だと思っている。
さよなら、『私』
――神代璃緒より』

赤馬から渡された手紙は、彼女に謝らなければならないと言う璃緒の手紙だった。だけど、自分は彼女の言葉に心が揺らめいた。
メラグと彼女の身体を統一したら璃緒の記憶は『消える』。消えると言う事は、ジムとの思い出の記憶も『消える』。
消える事が、怖いのだ。怖かったのなら、如何すれば良い?怖いと言う思いは、何処から込み上げて来る?其れでも、自分は何故怖いと言う思いが込み上げるのだろうか。
「…貴方は?」
「…恵?」
メビウスのレイン恵。彼女はZ-ONEの指示を的確に随っている少女。口数は少ないが、只者ではない。

「…璃緒と別れる事が怖い?貴方は、まだ彼女のぬくもりを欲している」

彼女の言うとおりだ。ぬくもりを欲する自分は、友達以上の思いを持っている。だけど、彼女の記憶をまだ忘れていない自分は――彼女と別れる意味を持つ『記憶の消去』が怖くて、涙が出そうな気分なのだ。
「――零児は敵じゃない。皆誰だってそう、敵か味方は…思いだけで決まる」
なら、自分はなんなのだろうか。彼女を助ける為に動いている?それとも、信じている為に歩いている?

「――貴方は、満月の時に選択を委ねられる事になる」
「――其れは、悲しい決断」


その決断は、悲劇が巻き起こる事を委ねられているかのように。
悲しい決断は、直ぐ其処に迫っていた。
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