「……女か」
「――っ!」
女と言われ、失礼な態度を取る男だと分かる。銀髪の男は、竜を手懐けていた。百目の竜であり、ちょうど召喚しているギオスよりも身長は高いドラゴンである。
「俺の名前は鬼柳京介。『聖歌の喜歌劇』の…オセロ」
「オセロ…?『聖歌の喜歌劇』?」
ジムは頭の中で混乱をしているが、鬼柳は「そうか、お前が…」と何かを囁いている。すると彼は、懐からナイフを取り出した。
「――そのデータ、悪いが『シェイクスピア』のご命令で破壊させてもらうぞ」
「…まずい!ジム!逃げろ!」
アンチノミーは感付いていたのだ。この男は、本気で自分を殺す気でいるのだと。しかし、自分は逃げる事など出来なかった。
「…其れは出来ない!友を置いて逃げる事など、本当に出来ない!」
自分だからこそ、何か出来る事は無いか。だが、其れで良いのかもしれない。彼女を巻き込み、他人を巻き込むくらいなら――いっそ首を掻っ切られて死んだ方がいいかもしれない。と心の中で思っていた。だけど、そんな事が出来るのなら…アンチノミーを逃がした方が先決。
「TG・ハルバード・キャノン!」
アンチノミーが電脳精霊を召喚する。2対1でこっちの方が有利だ。しかし、鬼柳は竜を手懐けている…油断は禁物なのだ。
ハルバード・キャノンがレーザー砲を発射し、竜が其れを尻尾で振り払う。ギオスが突進し、竜もこちらに対応するかのように突進をする。
まさに一進一退の攻防戦だ。しかし、竜がギオスの攻撃を受け…バランスを崩した所で自分は尻尾に身体をぶつけられ――倒れてしまった。
「…まずい!」
竜は咆哮を上げ、ブレスを吐く。
ああ、このままこの竜の攻撃を受け、死んでしまうのか。そう呟いた瞬間――過ぎ去り日の思いが込み上げて来た。
死んだ方が良い。と心で呟く。いいや、死んだ方が良いって訳じゃない。と心で反対する。自問自答を繰り返している中、目をふと閉じる――その時。

「ヴォルカニック・ハンマー!」
「E・HEROフレイム・ウィングマン!」

二体の電脳精霊が、攻撃をし…竜のブレスをガードしたのだ。目の前には――よく顔を見知っている二人の姿が。

「十代…其れにオブライエンも…!?」

ああ、何だ…ただの幼馴染と、大事な友達じゃないか。ジムはそう思い、そっと目を閉じる。
其れは、過去の選択だった。
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