地下エレベーターに乗り、奥深くまで来た。ドアの看板にはっきりと『廃棄処理場』と書かれているが、カードキーでロックを解除すると…廃棄物処理場ではなく、あらゆる電脳精霊のデータが保存されている場所だった。
「あの、これって…」
「普段は廃棄物処理場と誤魔化しているんだけどね」とアンチノミーは呟く。赤馬社長はあらゆる世界中の電脳精霊のデータを保存している。凄い社長じゃないのかとジムは心の其処で思った。
「姉の手がかりって…?」
「ちょっと探してみるよ」とアンチノミーはそう言い、コンピューターを立ち上げた。此処に姉の手掛かりがある…十代を探しに来て、インペリアル・コーポレーションに来たのに…自分の記憶の手掛かりを探す事になるなんて思ってもいなかった。でも、何故か自分の姉についてもっと知りたい。触れ合いたい。と言う心が込み上げて来る。姉はどんな人物だったのか?と言う思い。それらの思いが、心から…。

「――所で、君は何故危険な思いをしてまで友を助けたいと思うのかい?」

「…What?」
「君は、神代璃緒を助けたいと言う思いで…犯罪行為に手を染めてまで助ける事を願い、彼女の無事を願う。其れがどうして、あんな酷い怪我をしてまで…」
『あんな酷い怪我』。其れは円卓の騎士達に手厚い拷問を受けながらも抗い続けた。だけど、自分は彼女を助けたいと言う思いでいっぱいだった。
「…そんなの、マイ・フレインドにあれこれ関係ないだろ?璃緒は大事な…友達だから」
「そうだな…まさか、君から英語ではない言葉が出るなんて思わなかったよ」
「…あっ」
「いや、良いんだ。私は天才達の一人。そろそろ席をあの6人の子供達に譲ろうかと思っているんだからね」
アンチノミーは呟きながら苦笑する。この身体で数百年の歳月を過ぎたらしい――人間が望んだ不老不死だろうか?とジムは心で思う。
人間が最も望んだ魔法『不老不死』…アンチノミーもパラドックスも、不老不死の一種を使っているらしい。なら何故、その技術に手を染める事になるのだろうか。ジムのささやかな疑問が、少し渦巻いていた。
「――データを発見した。えーっと、読むね。データ110394281…」

その瞬間、コンピューターの電源が切れた。

「えっ!?電源が切れる筈が無いのに?予備電源は…」
「…っアンチノミー!」
急に亡霊らしき電脳精霊が襲い掛かって来た。ジムはすかさず電脳精霊のスカル・ギオスで亡霊を食い破った――が、靴音がした。
「誰だ!」

――其処に現れたのは、薄い銀色の髪をした黒いコートの男だった。
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