「あ、お帰り!」
屋上の部屋に帰還すると、ブレイブが女の姿になってこっちを向いた。
「大丈夫だったか、赤馬の旦那の話」
「あ、うん…」
ブレイブの可愛らしいけど大きい胸が、自分の胸に当たる…何これ、百合?と思った瞬間、手を掴まれた。
「じゃあ、俺とニャンニャンしようか!」
「えぇ!?あ、うん…」

「何を厭らしい事を考えているんだお前は」

パラドックスに頭を殴られたブレイブは、男の姿に戻った。「折角の百合百合しいシーンが台無しだぜ…」と吐き捨てた彼は、溜息をついた。

「…地下廃棄処理場へ行くんだって?」
パラドックスは「駄目だ、危険過ぎる」と警戒していた。ジムはやはり却下されるなんて思ってもいたが、彼はこう語った。

「…姉の事を、知りたい。俺の姉が、どんな電脳精霊を使っていたのか。俺の姉が、どんな姿だったのか…」

「分かったから、私に問い攻めないでくれ」
パラドックスはそう呟き、溜息をつく。するとアンチノミーが部屋に入って来た。
「それなら、私も一緒に行こう」
「!アンチノミー」
「君一人じゃ、危ない。それでも、行くんだったら私と一緒に行けば安心だ」
「…ああ、分かった。アンチノミーと一緒に行く」

ジムがアンチノミー地と一緒に地下廃棄処理場に行った後、パラドックスは一人取り残されていた。しかし、あのエリアはインペリアル・コーポレーションの13年前の事故が発生した場所と同じ…だが、本当に行かせて良かったのか?
「行かせたほうが安心かもしれませんね」
「Z-ONE…」
Z-ONEはそう囁き、彼はこう呟く。

「…何時までも、忘却されるわけにもいきませんからね」

…だが、忘れたい過去もある。其れでいいのか?とパラドックスは、心の中で自問自答を繰り返していた…。

――彼女が過去と対峙するのなら…、過去と目を向かなければならない。
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