久しぶりの電脳精霊召喚だった。
スカル・ギオスは自分にとってのお気に入りで、デュエルアバター大会でもちょくちょく出していた。防御力の硬さがウリで、オブライエンからも「ジムらしい」と言われている。でも、現実は違う。

――まるで、悪夢が降って来たかのように。

眼鏡をかけており、マフラーをした銀髪の青年は神さえ慄く王者の様に輝いている。その目に映るのは虚栄か、悲劇か。

「お前が襲撃事件の黒幕か」
赤馬は口を開いたのは、ある事件の事だった。
「ある事件って?」と北斗。すると真澄がバツを悪そうに言う。
「――インペリアル・コーポレーションの社員が、何者かに襲われて手持ちの電脳精霊が破壊されると言う事件よ」
「あー、そんな事件…円卓の騎士達の調査で忙しかったから忘れてしまったなあ」
「馬鹿」
北斗は真澄にぐさりと言われ、膝を抱えて落ち込んだ。

「生憎、私はそう簡単に甘くは無い。どうしてもと言うなら――即刻排除しなければならない」
「………」
赤馬は黒マントの男にそう呟くも、マントの男は竜を構える。
「そうか…その気なら」
赤馬は何かを囁く。

「――eine andere Dimension, ...., es kann sich in meiner Hand erholen(異次元を統べる王よ、我が手の中で蘇れ)」

突如謎の突風が発生し、赤馬は慄かず、ただ其処に立っているだけ。真澄も北斗も、突風に耐えられきれないと確信し、必死で赤馬の姿を見ていた。ジムは吹き飛ばされ…壁に頭を打ち付けられようとした瞬間、ハラルドに支えられた。ハラルドに支えられ…ジムはうつろいゆく時の中、赤馬を見る。

「…DDD疾風王、アレクサンダー」

赤馬はそう呟き…突風の次に、空間が現れ――其処から、鎧のような姿をした電脳精霊が現れた。
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