「おや、また会ったな…ジム・クロコダイル・クック」
ハラルドはそう言い、にこやかな顔だった。ジムは警戒し、「何の用件だ」と辛口そうに呟く。
「おい、ジム…こいつ知り合いか?」
「知り合いも何も…初対面さ」
北斗にそう誤魔化し、ハラルドを今だ警戒し続けている。するとハラルドは「そう警戒する事じゃない」と言う。
「君の包帯の『義眼』…について話をしたい」
「……!」
かつて幼い頃に右目を怪我し、義眼を埋め込まれた。其の義眼の話?
「北斗と言ったかな」
「へ?」

「カルネアデスを連れて来い」

医務室に連れられ、ジムは(本当は人に見られたくない)と思いながらも包帯を外した。すると真澄がやって来て、彼女の右目に付いて何か首を傾げたように語る。
「これ…オリハルコンよ」
「オリハルコン?」と北斗。ハラルドは「やはりな」と何か知っているように呟く。するとハラルドは語る。
「かつて『ヴァニタスの魔女』が身につけていた『右目』と言われている。」
「ヴァニタスの魔女…?」とジムは急に突発高い台詞を発するハラルドに困惑していた。すると彼は、昔話をする。

かつて、『フィンブルツィールの災厄』が起こる前、隻眼の魔女が居た。彼女の名前は『ヴァニタスの魔女』。虚栄を憂い、魔獣を操り…魔の者に操られた人々を救うと言われていた。しかし、彼女は火刑に晒され…死の間際に隻眼の『右目』を封印した。

「気味が右目に埋め込まれている『オリハルコン』は、大切な人を救う力となると言われている…大事にした方が良い」

「……あの」
「はい?」
するとジムは口にする。
「まさか、右目にそんな力があるなんて、思わなかった…」
するとハラルドは口にする。
「良いんだ…私こそ、左目に『ルーンの瞳』を宿している。我々はお互い、似ている事が多いんだな…」

すると喧しく警報が鳴り響く。
「何が起こった!!」と北斗。研究員は慌てながらとんでもない事を口にする。
「し、侵入者…しかも、とてつもない電脳精霊を連れて来ています!」
監視カメラのモニターを写せと北斗が命令すると、監視カメラに映ったのは――ジムも予想だにしない人物だった。
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