ジムがブレイブと真澄と共に最上階へ行くと、椅子にZ-ONEが座っていた。
蓄音機から流れるのは有名なベートーヴェンの『月光』。ピアノ音が鳴り響く。子供達は最上階に立っている建物の中に入り、雨を凌いでいる。
「やあ、また会いましたね」
「…Z-ONE…」
「貴方が倒れたと聞いて、驚きました。やはり、貴方は彼女の…」
雨がぱらぱらと降り積もる中、パラドックスが足音を立て…彼女の方へ向いた。
「その辺にして置いて下さい、Z-ONE」
「パラドックス」
パラドックスは敬礼をし、Z-ONEはふふっと少し笑った。
「貴方こそ、『フィンブルツィールの災厄』の時から…何も変わってませんね」
「ああ、数百年間この世界を『観測』していたからな」
すると彼は、ジムに語りかける。
「――天才達が、君を待ってる」

ドアを開けると、ステンドグラスが部屋を照らしていた。祈りを捧げるヨハン、何かを執筆している恵、刃と北斗は何かを模索しており、龍可は電脳精霊のクリボンをあやしている。
「…待ってたぞ」と北斗。
「ごめん」とただ謝るしかなかった。其れだけだった。
「…謝らなくていいんだ。俺達は…いや、こんな時にあいつがいれば」
「あいつ?」とジムは何か疑問に思う。すると刃が口を開く。
「俺は2代目『パブロフ』。つまり後任者。あいつって言うのは先代『パブロフ』。あいつって言うのは――オースチン・オブライエン」
其の人物の名前を聞き、ジムは硬直した。
「ん?どうした?知り合い?」と刃。ジムはぎこちなく口を開いた。
「――それ、俺の知り合い。俺のクラスメイト」
まさかあいつが『パブロフ』だったなんて…とジムは語る。するとブレイブは、ジムに何か質問をする。
「なぁ、どうしてジムは…此処を懐かしく思えたり…したんだ」
すると、答えは出された。

「…記憶が無いんだ――…5歳までの記憶が」

「記憶喪失…?記憶障害?」と恵。するとヨハンは、推測をする。
「このインペリアル・コーポレーションが事故を起こしたのは13年前。まさか、事故をきっかけにして記憶を失った?」
「恐らく、そう近いわ」と真澄。
すると恵はスケッチブックに何か絵を書き出した。さらさらと色鉛筆を使って、絵を描き始めた。彼女は出来上がった絵を5人に出した。
「おい、これって?」と北斗。
「爆発に巻き込まれて、意識を失った子供…?」
すると、パラドックスは何かを察する。
「…やはり、まさか…」
インペリアル・コーポレーションの13年前の事故と、ジムが何か関係しているのは間違いない。
パラドックスの推測は、確信に変わった。
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