目を覚ますと、真っ白い天井だった。確か、自分は…最上階のあの部屋で、倒れてしまった筈だ。そう呟くと、ベッドに寝かされている事に気付いた。頭ががんがん痛い…そう思いながら身を起こすと、目の前には赤毛の少女が居た。
「あ、やっと起きた!」
きゅっとナイスバディな胸は残念な事に自分よりも少し大きい。すると赤毛の少女は姿を変え――赤毛の青年になった。
「やっぱりこの姿なら落ち着くぜ…」
「な、な…!?」
一体何が何が!?ジムはパニックになっていると、赤毛の青年は言う。
「俺の名前はブレイブ。天才ブレイブ様って呼んでくれよな。あ、今の姿は女の姿。俺は男、女に姿を変える事が出来るんだぜー」
「つ、つまり其れって両性具有…」
「まぁそんな所って感じだな」
ブレイブに押し倒される様になり、服を暴かれ下着が露わになる。
「んで、お宝いっただきまーす」
「や、やめ…!」
「このドスケベ野郎、ジムから身を離して頂戴」
いきなり電脳精霊がブレイブを襲い、ブレイブは瞳を突然変異させ――精霊の攻撃をガードした。
「か、カルネアデスの真澄…」
「貴方、ジムの処女を美味しく頂くつもり?何て馬鹿なの?」
きゅううと身体が脱力して、気を失いかけているジム。するとブレイブは自己紹介する。
「改めて自己紹介だ。俺はブレイブ――インペリアル・コーポレーション所属の闇商人さ」
「闇、商人…?」
「そう!いっぱい色々売り捌く商人って訳だ!俺の精神は電脳精霊ロキと融合してな、まあ記憶は失ってはいないが空間移動という便利な力を手に入れたんだぜ!」
「は、はあ…」
すると真澄は口に揃う。
「改めて言うわ、貴方…やはり可笑しいわ」
「おか、しい…?」
真澄は口を紡ぐが、やはりどこか不満気な顔である。
「まるで、欠けた記憶を取り戻しつつある…そんな感じがするの」
「…ああ」
するとブレイブは、ジムに向かって話しかける。
「アンタ、この会社にやって来たって訳か?」
「あ、ああ…」
ジムは口を出せずに居たが、ブレイブはどこか不満気に語った。
「…この会社の社長、赤馬零児だぞ」
「赤馬…っ!」
『円卓の騎士達』の実質的なリーダー、赤馬零児。彼がこの会社の社長?
「まあ帰ってくる事は稀なんだけどな…アンタ、何故此処に来た?」
すると、ジムは口を開いた。
「そ、それは…」
「十代の行方を追って、璃緒の治療法を探しに来た…」
「――友達思いはいいもんだな」
ブレイブはそう言い、窓を見上げた。
窓は、そろそろ雨が降りつつあった。
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