『十代』
耳鳴りが聞こえる。またあの夢だ。夢なら、覚めてしまえば良いのに。と十代は思う。けれど、どんなに抗っても夢は鳴り止まない。怖い、怖い…。
『十代』
甘ったるい声が聞こえる。やめて、俺の中に入って来ないで。十代はベッドの中で怯えていた。其れでも、抗う日はまだ来ない。

『助けて』

声が、聞こえた様な気がした。そして、両親から入ってはいけない『あの場所』へ行くと決めた。其れが、彼の犯した大罪だった。

「耳鳴りが聞こえるの?」
明日香はそう言い、アイスシャーベットを食べていた。親友のヨハンも「十代、如何したんだ?」と十代に困惑している。
「あ、ああ…ううん、俺…ちょっと嫌な夢を見てさ」
「嫌な夢ならば、一緒にお散歩に行きましょう。そうすれば嫌な夢も忘れるわ」
「明日香、君って小学校から変わらないよなぁ」
「ヨハンは黙っていなさい」
ガーン!そんなショック音が聞こえる最中、明日香は「何処へ行くの?」と十代に言う。
「んーと、んーと…あっ!電脳世界の『ウルズエリア』に行こう!」
「『ウルズエリア』?あそこは貴方の両親が『行っちゃ駄目』と言っているんだけど…」
「両親には内緒!」と十代はそう言い、明日香とヨハンの三人でウルズエリアへ行く事になった。

ウルズエリア。住宅街の奥に、バリケードが張られている。其のバリケードの奥にウルズエリアに繋がると言われている。
「でも、ヨハン…いっつも方向音痴になるんだから!もう!」
明日香は怒り心頭になり、十代はヨハンの帰りを待っていた。すると明日香は語る。
「十代、二人で行きましょう!」
「あ、ちょっと待てよ明日香!」
するとグルルルルルルルルルル…と唸り声が上がっていた。二人が見ると、獰猛な猟犬がこちらを睨んでいる。
「十代、此処は私に任せて」
「あ、明日香…!」
明日香が資材置き場に置いてある木の棒を持ち、猟犬に立ち向かう。すると十代は足が怯えている事に気付いた。
「私に立ち向かった事、後悔しなさい…!!??」

其れは、一瞬にして起こった。

目の前には少女が腕から血を流して倒れている。苦痛に満ちた顔だ。腕からは肉が食い破られいてる。犬の牙から血が垂れている。苦痛、悲劇、悪夢。
そして、十代の中で何かが――途切れた。切れた。
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