ジムが夢から覚めた瞬間、目の前に居たのは電脳精霊だった。
「おお!起きていたじゃん!大丈夫かぁ?」
「ここ、は…?」
すると電脳精霊は姿を変え、褐色の青年姿になった。
「此処はアルカディア。炎の精霊宮。んで俺はアリト――どうしたんだ、何で泣いているんだ?」
「…何でもない…のに…」
久しぶりに、璃緒と一緒に居る夢を見た。あの事件が起こった。シャークが怒鳴り声で責めていた。ハラルドが紅茶を飲み、語っていた。
でも…全て振り出しに戻った。せっかく盗んだ電脳コードも、奪われた。
「…アンタの事は分かってるよ、でも…こんな事をしても誰も得しねぇよ。だから、メラグ…じゃない、璃緒の事は俺たちに任せなよ。だから…普通の女の子で良いんだ」
「良くないっ…」
アリトは「あ、ギラグが呼んでる」と言い、外へ飛び出して行った。

「……メラグ……か」
ジムはその本名がどうしても似合わないと思っていた。でも、本名だとしても、璃緒と呼んであげたい。だけど、どうしても言いたかった言葉があった。

「…ごめんよ…俺が、悪いんだ…全部…悪いんだ…!」

必死に謝り続け、泣いた。過去未来明日昨日の涙の分まで泣き続けた。だけど、彼女を巻き込んだのは俺のせいだ。
彼女は泣き、今は昔であるあの頃に戻りたいと願っていた。

『戻れたならば何もいらなかった
嗚呼、なんて世迷言
それすらも夢となって散っていく』

歌声が響いていた。でも、戻りたいとは言えなかった。戻ったとしても、何もかもが違ったのならば、自分は何をしたいのだろうか。

約束を果たしに行こう。と見える事も無い瞳は何を映すのか。

title:空想アリア
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