母親が部屋へ向かい、ずっと数日間引篭もっていたジムを心配しながら話し掛けた。「貴女らしくないわ、一体如何したの」と言っても、ジムは何も答える事は無かった。
話し掛けないで欲しい。と少し震えた声で言うも、母親は彼女を心配そうに顔を上げた。

学校にも行っていない。久しぶりに璃緒の所に行こうとした瞬間――黒髪の占い師が彼女に話し掛けた。
「貴女、何かあったのかしら?」
「…何も」
黒髪の女性は「何かに取り付かれたような顔をしているわ」と言いながらも、手を見て静かに頷いた。
「貴女、今にでも死にそうな顔をしている」
すると彼女はタロットカードを出した。
「月の正位置。貴女は不安げに何かを思っている――だから心配そうなのね、彼女の事を」
ジムは占い師の声が凛と響き、図星の一言を言われた。
「貴女は友達を思っていながらも、迷惑をかけたくないって顔をしている。だからそうなのね…あなたは夢見がちな友達から現実逃避しようとしている」
「マイ・フレンドを助けたい、気持ち…」
すると彼女は声音色を変えた。

「今直ぐに病院へ行きなさい――すぐさまに運命が変わってしまうかもしれないけど、貴方なら出来る」

「…OK、分かったよ」
直に立ち去る。雲が暗雲立ち込め――雨が降ろうとしていた。ポツリ、ポツリと雨が降る。占い師――ミスティ・ローラ…『ドロシー』である彼女は、もう一つの意味であろう『運命の輪』を引いた。
「恐れていた事が現実になる…けれど、貴方は理由も無く襲い掛かる『暴力』と『苦痛』に、泣き叫ぶ事となる…そうでしょう。貴方は理由無き言葉で語り掛けるも――『オズ』、いえ…藤原優介」
ミスティは店仕舞いをし、姿を消した。

病院に行こうとした瞬間、ジムは身震いした。

『ジム』

璃緒の声がする。嫌な予感がする…でも、行かなければ何も変わらない。自分が毒気を持った原因だとしても、友達なら行かなければならない。其れがマイ・フレンドである自分の責務だったのなら。
病院は雨が降っているから物静かである。彼女は璃緒の居る病室を訪ねようとした――結局、尋ねようとしてもどんな結果が待っているのか分からない…。

ドアを開けようとした時だった。

「メラグのお友達か?」

後ろに銀髪の男が居た。けれども聞き間違いだったか?銀髪の男は立ち去って行った。ジムは咄嗟の思いでドアを開けた。

其処に広がっていたのは異様な光景だった。

title:空想アリア
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