どれ程の意識を失ったのだろう。目を覚ますと、手錠が掛けられていた。
「………!」
声が出せない。すると、ヴァロンが居た――目の前に居るのは、眼鏡をかけた少年だった。
「『ユーウェイン』、彼女が『精霊王』ナッシュの妹に近付いたと言うのか」
「ああそうだ。彼女がメラグに近付いたのは本当だ」
眼鏡をかけた少年は、こちらを見て語る。
(アンタ…誰だ?)
「俺は赤馬零児。『アーサー』と言われる存在」
(アーサー…)
円卓の騎士で最も王と呼ばれる存在。だけど、声が出せない。
「璃緒を知りたいのだろう?――『トリスタン』」
トリスタンと呼ばれた女性は、ええ。と頷き…モニターを出した。
「彼女はメラグの『器』。彼女は魂と肉体が別々に分かれてしまったのだ。精霊王ナッシュは魂と肉体を融合したものの、メラグは融合を果たしていない。その為か肉体は現実世界の毒気を受け、電脳世界に生きた彼女にとっては毒なのだ。だから我々『円卓の騎士達』が保護をしている」
「………」

「あの病院は我々の監視下にあった。だから騎士達に魂を探しているのだ」

「もう良いだろう、『ユーウェイン』…彼女を解放してやれ」
「分かったよ」
ヴァロンは手錠を外し、ジムを解放した。
「騙した、のか」
「正確には騙してなんかない――璃緒、お前が彼女と出会って厄介な事を背負ってしまった」
ヴァロンは溜め息をつき、ジムを見た。

「此処には二度と来るな。だけど――ジム、一つ忠告しておこう」
零児はそう言いながら、真剣な眼差しだった。

「貴方が彼女と共に日々を過ごしたい思いは、何処にも無い」

恐怖のあまり、走った。円卓の騎士達、璃緒、アモンの忠告、メラグ、魂と肉体――ジムは泣き叫びながらも、あの恐怖の眼差しで見ていた『アーサー』が忘れられない。

気付けば自分の部屋に居た。両親は「何処へ行っていたの」と言い、質問責めをしたが…彼女が泣いている事に気づいて、彼女の部屋に近付く事は無かった。
「ああ…」
璃緒の事が忘れられない。けれど、璃緒は大変な思いをしていたんだ。
「あああっ!」
彼女は泣いた。璃緒の事など忘れるほどに泣いた。

夢なら覚めないのに。と彼女は静かに眠りについた。

title:空想アリア
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