「じゃあ、フランス革命を起こし――奇跡の聖女と呼ばれていたジャンヌ・ダルクは奇跡の乙女と呼ばれていました。旗を掲げ、奇跡を起こしたと言う――」
授業が耳に入らない。何時も思い浮かべるのは璃緒の事ばかり。
キーンコーンカーンコーン。放課後を告げるチャイムが鳴った。
「ちょっとジム、貴方はまた勉強をサボったでしょう」
「!アモン」
アモン・ガラム。同じクラスメイトであり、同じ電脳世界でデュエルアバター大会仲間。するとアモンは溜め息をついた。
「全く貴方って人は…」
「アモン、俺はちゃんと集中をして…」
するとアモンは教科書を自分の頭に置いた。
「集中しないと、ちゃんと卒業が出来ませんよ」
放課後になった後、ジムは何時もの通りに病院へ行った。
ナースステーションに「璃緒って居ないか?」と尋ねると、ナースが案内してくれた。病室には璃緒が居た。
「よっ」
「あ、ジム!」
璃緒はジムが来た事に喜んだ。すると彼女は本を読んでいる事に気が付いた。
「何を読んでいるんだ?」
「えっとね…勇者アリアと7つの輝石と言うお話!」
彼女が言うにはこうだ。勇者アリアが、世界を救う為に7つの軌跡を探し出す冒険である。冒険染みたお話である。
「ねぇ、一緒に輝石探しをしない?」
「えっ…Questionだが、輝石なんてフィクション…」
「そうじゃないの!」
すると彼女はこう語る。
「自分だけの輝石探し!何時か病気が治ったら、一緒に行こう!」
「…ああ、分かったよ。いつかはやろう、何時かは…な」
璃緒は彼女の手を掴み、ニコニコと笑った。
――しかし、病室の外に何か真剣な顔で悩んでいるアモンが居る事に気付かずに…。
何時かは何時もの日常が崩れるという事は信じていなかった。
だけど、そんな事は分かっていた。
あの事が、全てを狂わす事になっても…………!
title:空想アリア
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